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超音波検査
産婦人科で最も頻繁に行われる検査です。お腹の方から調べる方法(経腹超音波断層法)と膣の方から調べる方法(経腟超音波断層法)があります。そのほか直腸(肛門)から検査する方法や手術中に検査する方法もあります。妊娠中の方には、赤ちゃんの発育を知るためになくてはならない検査ですね。
超音波検査にはこの他に、血液の流れの状態を知る目的でも用いられます。

CT検査
Computed Tomography(コンピューター断層撮影法)のことで、放射線を使った断層がわかる画像診断検査です。リンパ節の状態などは、MRI検査より明瞭な判断ができます。放射線を使っていますから、妊娠中は検査できません。

MRI検査
Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴映像法)のことで、強力な磁場に対する生体の反応を利用した検査です。胎児に対する影響は完全に否定されたわけではありませんが、その可能性を示す報告もなく、妊娠中も(特に妊娠16週以降は)安全な検査と考えられています。このため胎児を調べる目的でも使用されます。卵巣腫瘍の種類を知る目的や子宮筋腫の発生部位を知るのには非常に有用な方法です。強力な磁場の中にはいるので、身体の中に磁場の影響を受ける金属が埋め込まれた方は受けることができません。また、15分前後円筒形の中で動かないでいて頂かないといけないので、閉所恐怖症のある方は予めお知らせください。

コルポスコピー検査
子宮頚がんは子宮の入り口の部分にできます。その部分を拡大して観察する検査です。腟拡大鏡検査とも呼ばれます。子宮頚部異型上皮や子宮頚がんが疑われる場合に、この検査をしながら最も適切な部位から組織を採取します。

子宮癌の検査
初期の子宮頚がんを発見するための検診のための検査です。検診ではまず、ふるい分け(スクリーニング)検査を行います。この検査で、精密検査を必要とする方を選び出します。そのために用いられるのが、細胞診の検査です。細胞診では病変の近くにある細胞を集めて、顕微鏡で検査します。一般に子宮癌の検査というのはこの細胞診の検査を指します。
なお、いわゆる子宮癌の検査は子宮頚がんの検査です。子宮体癌の検査や卵巣癌の検査は含まれていません。子宮体癌や卵巣がんの検診を子宮頚がんと同じように実施した方がよいかどうかは、さまざまな意見があり一般には実施されていません。
がん検診というのは、多数の人たちの中から容疑者を捜し出すようなものです。がん検診には犯人を断定する力はありません。犯人であると断定するのは、もしくはそれを否定するのは精密検査(がんの場合は組織検査)です。また、容疑者を見落とすのは困りますが、容疑者が本当は犯人でなかったとしてもそれは許される検査です。精密検査が必要と言われただけで、落ち込む方がおられますが、取り越し苦労になることが多いですね。とにかくあまり心配しないで、きちんと精密検査を受けることが大切です。

細胞診
子宮がん検診などに用いられるふるい分け検査です。病変周囲の細胞を集めて、顕微鏡で調べます。検査結果は、クラス1、2、3、4、5で表現されることがほとんどです。クラス3、4、5の場合は、精密検査を受けるよう勧められるでしょう。

組織診
細胞診が、ばらばらの細胞を集めて検査するのに対して、組織診では細胞のかたまり(組織)を採取して検査します。細胞はこすって集めますが、組織は切除して採取します(あるいは手術で摘出した標本を用います)。がんかどうかは、組織診で確定されます。

細菌検査
産婦人科では、膣内や尿の細菌検査がしばしば行われます。そのほか、膿がたまっているような場合や腹膜炎のような場合はそれぞれの部位で細菌検査をします。細菌検査には、そのままとったものを顕微鏡下に調べる方法(塗沫)と、細菌を培養(増殖)して検査する方法があります。塗沫検査の結果はすぐ出ますが、培養の結果が出るには数日かかります。培養検査では最近の細かい種類や抗生物質の効き具合なども判ります。

クラミジアPCR検査
クラミジアがその場所にいるかいないかを調べる遺伝子診断法を用いた検査です。検出感度が高い検査ですが、その場所にクラミジアがいなければ(別の部位にいても)検査結果は陰性になります。クラミジアの検査法にはこれ以外に、血液による抗体検査があります。抗体検査は、「抵抗力」があればかかったと診断するもので、からだのどこにクラミジアがいても検出できますが、調べようとするクラミジア以外の病原体の抗体も検出してしまう、治ったかどうかの判定ができないといった欠点があります。

子宮卵管造影検査
子宮の入り口(膣)の方から、子宮の中に細い管を入れてそこから造影剤を注入して、子宮内腔の形態や卵管が通っているかどうか、腹腔内に癒着がないかどうかを調べる検査です。造影剤の注入は透視ししながら行い、何枚かのレントゲン写真を撮ります。造影剤には水溶性と油性があります。水溶性の場合は15-30分後に、油性の場合は翌日以降に腹部のレントゲン写真を撮って、腹腔内の造影剤の広がりを確認します。痛いことがあり、また感染が起こることがあるので、痛み止めや抗生物質が処方されます。Hysterosalpingographyの略で、HSGと呼ばれることもあります。Hysteroは「子宮」、salpingoは「卵管」、graphyは「造影法」を意味します。

選択的卵管造影検査
子宮卵管造影が、子宮の入り口から造影剤を注入して、卵管の通過性とともに子宮内腔の形態を観察することを目的としているのに対して、選択的卵管造影では卵管の入り口までカテーテルを進め、左右別々に卵管の通過性を調べます。卵管の軽度の閉塞であれば、この方法で通過してしまうことがあること、この検査後の妊娠率が高いことが特徴です。 Selective salpingographyの略でSSGと呼ばれることがあります。子宮卵管造影で特に卵管間質部や峡部の閉塞が疑われる場合に行います。

子宮鏡
子宮の入り口(腟の方)から、細い内視鏡を子宮の中に入れて観察する検査です。子宮内腔の形態や粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープの有無、子宮内膜がんの有無が判ります。

腹腔鏡
お臍のところに小さな穴をあけてそこから腹腔鏡と呼ばれるスコープを挿入して中を観察します。検査といっても、麻酔が必要です。また術後に軽い痛みを伴うために、多くの場合入院して実施します。
原因不明の不妊症や、腹腔内の癒着・卵管の閉鎖が疑われる場合、子宮内膜症が疑われる場合は大切な検査です。手術的操作ができますから、単に検査にとどまらない応用範囲の広い検査といえます。
副作用が起こることもありますから、慎重に実施すべき検査とも言えます。

卵管鏡
卵管の中を内視鏡で観察する方法です。卵管の細い部分は1mm以下ですから、その部分を傷つけないように、芋虫のようにゆっくりと進む細い内視鏡を使います。一般の病院で行われている検査法ではありません。

基礎体温
毎朝、目が覚めたときに、布団から起き出す前に婦人体温計で測定した体温です。記録用紙に記録していると、排卵後には体温が上昇し月経の開始とともに低下します。体温の変化だけではなく、月経、性交渉の日などを記入します。不妊症の検査では大切な検査の一つです。排卵の有無やいつ頃排卵しているかが判ります。

精液検査
用手的に採取した精液の量、pH、精子濃度、精子の運動率、奇形率、白血球数などを調べます。不妊症の基本的な検査の一つです。不妊に関係する男性側の要因がないかどうかが判ります。そのときの条件(例えば、深酒、過労など)で変動しますから、よくない場合は再検査を行います。
精液検査の正常値は病院により基準が異なっているため、最も普及しているWHO(世界保健機関)の正常精液の基準を挙げておきます。

精液量 2ml以上

pH 7.2〜7.8

精子濃度 1mlに2000万個以上

精子運動率 前進運動精子が50%以上

正常形態精子 30%以上

精子生存率 75%以上

白血球 1mlに100万個未満


頚管粘液検査
頚管粘液は、月経周期によって変化します。最も量が増えて精子を通しやすくなるのは排卵直前です。排卵直前の子宮頚管粘液の状態が、最適に変化しているかどうかを調べるのが、頚管粘液検査です。
 
性交後検査Postcoital test:PCT、あるいはヒューナー試験とも呼ばれます)
精子が、女性の子宮頚管を遡上できるかどうかを調べる検査です。前夜、正常位で性交渉をもって頂き、翌日、子宮頚管内の精子の動きを調べます。そのときの条件で結果が変動しますから、よくない場合は再検査が必要です。

腫瘍マーカー検査
特にがんに関係して、身体の中に存在する物質を腫瘍マーカーといいます。産婦人科関係でよく測定されるものには、CA125、CA19-9、CEA、SCC、AFPなどがあります。良性疾患の場合でも高値をとることがあるだけではなく、全く何もなくても高値をとることがあります。ですからこれだけで、がんの診断や早期発見ができるわけではありません。むしろがんの再発を早く知る目的で開発されたもので、手術がすんだ、もしくは化学療法がすんで、経過をみている患者さんにしばしば行われる検査です。

内分泌(ホルモン)検査
ホルモンとは、極めて微量で生体の様々な機能をコントロールする物質のことをいい、体内にある内分泌腺というところから分泌されます。内分泌腺には、脳下垂体、膵臓、甲状腺、副腎、卵巣などがあります。産婦人科で問題となる内分泌腺は主に脳下垂体と卵巣ですが、甲状腺や副腎なども関係します。また、その他のホルモンも間接的に影響することがあります。これらの状態を調べるのが内分泌検査です。

脳下垂体からは主に、LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、プロラクチン(PRL、催乳ホルモン)などが分泌されます。卵巣からは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。また、女性でもある程度の男性ホルモン(テストステロン)が分泌されており、これは卵巣や副腎で作られます。

内分泌検査は、採血をして血液中に分泌されるこれらのホルモンの量を測定します。尿中のホルモンを測定することもあります。

脳下垂体や卵巣から分泌されるホルモンは周期的に量が変化し、月経周期をつくります。これらのホルモンを検査する場合は、通常は月経の3日目(2〜5日目)に採血します。この時期の値をホルモン基礎値といいます。月経が不規則だったり、月経が来ない場合はそれ以外の時期に調べることがあります。また、特に不妊症や黄体機能不全などでは、黄体ホルモンの量をみるために、高温期(排卵後)に検査することがあります。


抗精子抗体検査
精子に対する抗体を調べる検査です。精子不働化抗体という検査法がよく用いられますが、それ以外の検査法もあります。妻にも夫にも抗精子抗体があることがあります。抗精子抗体の存在が不妊に関係することは十分に考えられますが、検査そのものの意義については専門家の間でもさまざまな意見があります。

染色体検査と遺伝子検査
遺伝子というのは遺伝に関する情報が書かれたファイルのようなものです。遺伝子はDNAというながく細い糸状のものに書かれていると考えてください。その情報が親から子どもへ、細胞から細胞へと引き継がれるためにコンパクトにパッキングされたものが染色体です。その状態がどうなっているかを調べるのが、染色体検査や遺伝子検査です。普通は血液で検査しますが、例えば羊水細胞でも調べることができます。結果は自分だけではなく、家族にも関係しており、染色体や遺伝子そのものは現在は治療不可能なものです。検査をうけることがあなたやあなたの家族の幸福や利益につながるかどうかよく考えて受けることが大切です。