妊娠と出産


ご妊娠おめでとうございます。妊娠されると周囲から「あれもだめ、これもだめ」とたくさんのことを言われますね。さらには、「赤ちゃんのために、これをのんだら」と栄養食品まで届けられます。妊婦さんのための雑誌を見れば、食事や姿勢からセックスの体位まで事細かなアドバイスが並んでいます。私もこのHPにたくさんの注意を書きました。

でも、もっと気楽に過ごして大丈夫です。ふつうに過ごされて大丈夫です。

と言いつつ、また、注意を書いてしまいます。これは医師の習性。私からのお願いは、1)妊娠前から妊娠11週頃まで葉酸をとってください、2)禁煙してください、3)アルコールはできるだけ控えてください、4)判らないことや困ったことがあったら、何でも医師や助産師に相談してください、5)緊急時には病院に当直医や当直助産師がいますから、すぐに連絡して指示を受けてください、の5点です。

このページでは、妊娠や出産に関わるさまざまな問題について触れられています。辞書として調べるだけではなく、全体をお読み頂ければ参考になると思います。
をクリックすれば、目的の場所にジャンプします。

妊娠しようとおもったら
妊娠の前に−葉酸をとりましょう
妊娠の前に−病気を持っておられる方へ
妊娠の前に−避けたいこと
妊娠週数や月数の数え方
妊娠3か月までの過ごし方
母子手帳の交付を受けましょう
妊娠4−9か月の過ごし方
妊娠中の栄養
妊娠10か月の過ごし方
分娩がはじまったら
こんな時は病院にすぐ連絡しましょう
分娩がはじまるまで 工事中です
分娩第1期 工事中です
分娩第2期 工事中です
胎盤の娩出 工事中です
産褥期の過ごし方
妊娠中のさまざまの症状とその対策
出血
腹痛 工事中です
お腹がはる 工事中です
破水した? 工事中です
吐き気がする、嘔吐、胃痛 工事中です
足がむくむ
便秘
尿が近い、何回もトイレに行く
こむら返り
静脈瘤
仰臥位低血圧症候群
貧血があると言われた
妊娠中や分娩中の検査
妊娠反応検査
妊娠中の血液検査
妊娠中の尿検査や膣・外陰部の細菌検査
超音波検査
胎動カウント
出生前診断
分娩監視
ノンストレステスト
ストレステスト
妊娠や出産の異常
流産
胞状奇胎
子宮外妊娠
早産
頚管無力症 工事中です
前期破水
前置胎盤
(常位)胎盤早期剥離 工事中です
骨盤位
肩甲難産 工事中です
妊娠高血圧症候群
難産 工事中です
予定日超過 工事中です

妊娠しようと思ったら
妊娠の前に−葉酸をとりましょう

葉酸というのは、遺伝子伝子を作るために欠かせないもので、細胞分裂やたんぱく質合成の鍵となる重要物質です。

妊娠初期(8週まで)に葉酸が不足すると、赤ちゃんの奇形発生の原因になることが判っています。

葉酸は、アスパラガス、オクラ、ブロッコリー、ほうれん草、えんどう豆などの濃緑色野菜や豆類にたくさん含まれています。もちろんこうした食品をきちんととすことも大切ですが、念のために
1日400マイクログラムの葉酸を含む栄養補助薬品(サプリメント)を薬局で購入して服用されることをお勧めします

特に関係する可能性があるのは、妊娠5-6週におこる赤ちゃんの病気です。この時期はまだ妊娠と気付かれない方が多いので、妊娠前から服用することが大切です。少しゆとりをみて、妊娠11週ぐらいまで服用を継続されるようお勧めします。

特に前の子どもさんに病気(染色体異常や遺伝子異常はのぞく)があった場合や抗てんかん(けいれん)薬を服用している場合は、医師に相談して、処方箋の交付を受け、多めに葉酸を服用されるようお勧めします。1日5ミリグラム程度までの葉酸が処方されるでしょう。

もちろん赤ちゃんの病気のすべてが葉酸の不足によって起こるわけではありません。しかし、一部は確実に防ぐことができることが判っています。妊娠を計画しているすべての方に、葉酸をサプリメントとして服用されるようお勧めします。薬局で購入された場合でも、病院で処方された場合でも健康保険は使えません。ただし、高価な薬剤ではありません。

妊娠の前に−病気をもっておられる方へ

心臓の病気、高血圧、糖尿病、膠原病、精神神経疾患、てんかん、がんなど、いわゆる持病がある方は、妊娠前にその病気の主治医と妊娠の可否についてよくご相談をください。

妊娠によって病気が悪化することがあります。病気の悪化によってお母さんの健康状態そのものが危険にさらされる可能性もあります。

お母さんの健康状態の悪化が、お腹の赤ちゃんの健康状態の悪化につながり、人工的な早産にせざるを得なくなることもあります。また、例えば糖尿病の場合は、コントロール不良のまま妊娠すると、それが赤ちゃんの病気の原因になることがあります。

治療のために使っている薬剤で、赤ちゃんに病気が引き起こされることがあります。しかし、ほとんどの場合、胎児により安全な薬に変更することができます。

こんなことを書くと、病気をもっておられる方々は暗い気持ちになってしまうかも知れません。でも、ある程度治療してから妊娠を考える、胎児に安全な薬剤に変更する、不要な薬はだんだんやめていく、産婦人科医や小児科医と連携をとりながら治療チームを組んで対応するなどの方法によって、母児ともに安全に妊娠・出産することが可能になってきています。少し前までは不可能と考えられていた病気の状態でも、可能になってきています。

取りあえず、その病気の専門医、産科専門医とよく相談して頂くことが大切です。

妊娠の前に−避けたいこと

1)ビタミンというのは健康に必須の物質ですね。でも、たくさんとればいいというものではありません。

普段から、疲れたからとビタミン剤やドリンク剤を服用する方がいます。そして今日は疲れが激しいからと、たくさん服用する方もいます。妊娠を計画している場合は、これは避けて頂きたいと思います。

ビタミンAは、1日に1800IU(国際単位)必要といわれています。しかし、1万単位以上は過剰摂取になり、過剰摂取によって赤ちゃんに奇形を起こす可能性があるといわれています。うなぎやレバー類、牛肉、豚肉にはたくさんのビタミンAが含まれています。体力低下、夏ばてなどを理由にこうした食品をたくさん摂り、加えてビタミン剤をがんがん服用すれば、1日のビタミンA摂取量は簡単に1万単位を超えます。せめて、疲れたからとビタミン剤をたくさん服用するのだけは、妊娠前にやめておいて頂きたいと思います。

2)
たばこもやめておいて頂きたいものの一つです。妊娠中に喫煙していた場合、喫煙していないお母さんに比べて、早産や低体重児の生まれる可能性が高くなります。喫煙本数が多いほどその可能性が高くなります。おそらくお母さんがタバコを吸うことで、血液の流れが悪くなり赤ちゃんに必要な酸素や栄養が十分に行かなくなってしまうからです。

妊娠前に禁煙することをおすすめします。せめて妊娠したらすぐにやめて頂く必要があります。
受動喫煙といって周りで喫煙している場合にも赤ちゃんへ同じような影響があります。周りの人にも協力してもらいましょう。

3)お母さんがお酒を飲むと、アルコールは胎盤を通して赤ちゃんへ移行します。アルコールの濃度は、お母さんと赤ちゃんの血液で同じになります。お母さんと一緒に赤ちゃんも酩酊状態というわけです。いいわけありませんね。

アルコール飲用のお母さんから生まれた赤ちゃんには、色々な病気が起こる頻度が高くなります。赤ちゃんに病気が起こる頻度はアルコール摂取量に関係すると考えられています。問題は、どの程度が安全か判っていないということです。毎日のむことが問題かというと必ずしもそうではなく、時々一気のみをするのも問題ではないかと考えられています。

普段から一気のみをしていると、妊娠と気付かず一気のみをする可能性もあります。妊娠を計画しているのであれば、アルコールは、毎日のむのはもちろん、一気飲みもやめていただいた方がよいのです。

妊娠と判ったら、アルコールは一切やめた方がいいでしょう。

妊娠週数や月数の数え方


最終月経がはじまった日を0週0日として計算します。

0週0日の次の日は、0週1日、その次の日は0週2日と数えて、
0週6日までいくと、その次の日は1週0日です。こうして計算すると、40週0日が分娩予定日になります。

月数は0週0日から3週6日を妊娠1か月、4週1日から7週6日を妊娠2か月と呼びます。

受精するのは、月経周期が28日型の女性の場合、最終月経がはじまった日から14日目(妊娠2週0日)頃ですから、このころまでは本当は妊娠していません。

月経周期が不規則な方は、超音波断層法で妊娠初期(妊娠5-8週ぐらいが正確です)の赤ちゃんの発育を調べて、実際の週数と予定日を推定します。±1週間前後までのずれがあります。

体外受精や人工授精、あるいは基礎体温(婦人体温)をつけておられて受胎した日が正確に割り出せる場合は、それを2週0日として計算します。

左は妊娠8週の胎児と胎児の心拍、右は妊娠10週の胎児です。
妊娠3か月までの過ごし方

赤ちゃんの器官の基本(つまりひととしての基本的な形)ができ上がるのは、妊娠2か月(4〜7週)です。この頃、頭殿長(大人で言えばおよそ坐高に相当します。胎児は丸まっているので、超音波断層法で計れるのは坐高に相当する頭殿長だけです、CRLと呼ばれます)は、わずか1cm前後、でもようく見ると、もう立派なひとです。つまり、妊娠3か月にはいる頃(妊娠8週頃)には、赤ちゃんの基本的な形はできあがっています。

口蓋の癒合や男女外性器の分化は、少し遅れて妊娠3〜4か月(8〜15週)に完成します。

つわり

この時期にお母さんに起こる変化として最大のものはつわり(医学用語は妊娠悪阻です)です。吐気、嘔吐、胸やけ、食欲不振、酸味を好むなどの嗜好の変化、ふだん口にしないものが食べたくなるなど胃腸症状が主なものです。また、唾液の分泌が増えます。倦怠感ややたらに眠い、立ちくらみがするなどといった症状も広い意味でつわりのひとつです。妊娠4〜5週から始まり、6〜9週がピークで、12週に入ると軽くなることが多いようです。20週頃までにはほとんどの方でよくなります。

どうしてつわりが起こるのかよく分かっていません。妊娠によって大きくかわるホルモンが影響している可能性が高いのですが、妊婦さんごとに症状がかなり異なります。20%ぐらいの方にはつわりと言えるような変化が全くありません。一方、つわりのために入院を必要とするような方もおられます。

妊娠前とホルモンの状態が急激に大きく変わります。胎盤の絨毛組織から分泌されるhCG(絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが影響しているという説があります。この変化に身体が対応しきれないためにつわりがおこるといわれています。体質や自律神経の機能、ホルモンの状況、環境・季節・気象などが関わります。精神的影響も大きいようです。

つわりの時期は、兎に角、
”やり過ごす”気持ちが大切。栄養のバランスが乱れても構いません。赤ちゃんはまだまだ小さく(坐高でせいぜい2-3cmしかありません、お母さんの蓄えで十分にやっていかれます)欲しくないものを、栄養があるからと無理に食べない方がいいです。好きなもの、食べられるものを選んで食べて下さい。水分の補給は大切です。

また、食べたい時に食べたいものを、
少しずつ口に入れるようにしましょう。いつも少しずつ食べるのがいいでしょう。夫の食事の準備をしない方がいいでしょう。自炊してもらうか、外食をしてもらいましょう。上の子どもさんがおられる場合は、夫に食事の準備をしてもらいましょう。

冷たいポタージュやジュース、ゼリーなど、冷たいものなどが食べやすいことが多いです。また、生姜やわさび、さらしネギなどの薬味で食事が進むこともあります。

嘔吐が激しい、水分補給ができない、体重がどんどん減少する、こうした場合は病院に受診して下さい。

激しい「飢餓状態」の場合は、入院をお勧めします。点滴をするとずいぶん楽になります。自信がつけば、退院していただきます。外来で通院しながら点滴をするのも一法です。

立ちくらみ

血管の運動(太さの変化)を支配する神経(自律神経)が不安定になり、頭に行く血流が減少するために起こります。普段は横になっていても、立っていても同じように頭に血流が行くように自律神経が調節しています。これがうまく働かなくなって、立ちくらみが起こります。しばらくするとおさまりますので、無理をせずしゃがんだり横になりましょう。

駅などで倒れないか心配ですね。立ちくらみが起こりそうなことは少し前に判ります。あっ、立ちくらみが起こりそうだと思ったら、頭を低くすることが大切です。できればベンチで横になる、駅員の助けを求めるのが最善ですが、しゃがみ込むだけでも違うはずです。

血液が薄い場合、医学的には貧血といいます。立ちくらみと医学的な貧血は別のものです。立ちくらみがあるから貧血ではないかと心配される必要はありません。

乳房が張る

妊娠2か月に入ると間もなく“張った感じ”が出てきて感受性も強くなります。乳腺の発達、脂肪組織の増加によるもので、乳房も大きくなります。お産が初めてでない方はこの張り感が強くないこともあります。また乳首も授乳に備えて形が変わり、過敏になります。

子宮がチクチクする、重苦しい、下腹部がちくちくする

両方の下腹部、特に足のつけ根の上に、ちくちくするような痛みや突っ張るような痛み、月経痛のような痛みがあるのは、心配いりません。おそらくこの部分に血液の欝滞が起こるためのものです。妊娠5か月頃にはなくなります。

尿が近い

膀胱は子宮のすぐ前にあります。妊娠により大きくなった子宮に膀胱が圧迫されるために尿が近くなります。排尿したのに、すぐにおしっこに行きたくなる、残ったような感じ(残尿感といいます)がする場合は、膀胱炎の可能性があります。この場合は、病院に受診された方がいいでしょう。

おりもの(帯下)が増える

ホルモンの影響をうけ、おりものが増えます。かゆみを伴ったり、出血を伴うものでなければ様子を見て構いません。

出血

下着に付く程度の茶色のおりもの(帯下)の多くは心配ありません。また着床期出血といって、排卵日から2週間前後に(予定月経の頃)お腹の痛みを伴わない少量の出血があることがあります。数日でとまります。念のため医師の診察をうけ、異常のないことを確認することをお勧めします。

シミ・ソバカス

シミ・ソバカスが増えたり、色が濃くなったりします。ホルモンの影響でメラニン色素の沈着がおこりやすいためです。顔、わきの下、乳首、陰部などにおこります。



立ちくらみが起こりそうになったらすぐ横になりましょう。
母子手帳の交付を受けましょう

母子手帳
は 区役所、市町村役場で妊娠届けを行うと交付されます。

1)分娩予定日を尋ねられます。

2) 病院の証明書は不要です。

3)印鑑が必要です。いわゆる三文判で構いません。

4) 赤ちゃんひとりにつき1冊が交付されます。双子であれば2冊です。

5) 医師・助産師から指示があれば、早めにもらって、必要事項(ご自分の名前や住所、連絡先、分娩予定日など)を記入しておきましょう。

6) 妊婦健診時以外にも、旅行や外出時には必ず携帯してください。緊急時などにカルテの役目を果たします。

7) 出産後は赤ちゃんが小学校に上がるまでの大切な健康記録となります。赤ちゃんと出かけるときには一緒に持ち歩くようにしましょう。

無料妊娠健康診査受診票は、 母子手帳についています。

1) 貧血や梅毒・B型肝炎ウィルスなどの検査が含まれています。

2) 必要事項を記入して妊婦健診時に持参しましょう。

3) 地域によっては、限られた地域の病院や診療所でしか利用できないことがあります。

妊婦超音波検査受診票について

地域によりますが、35歳以上の高齢妊婦に対して配布され、赤ちゃんの超音波検査1回分が無料になります。

妊娠4−9か月の過ごし方

日常生活動作、姿勢

切迫流産や早産でない限り、家事や日常の仕事、運動は、妊娠してない時と同じに行って構いません。もちろん、身体が疲れている時は休みながら行いましょう。

自転車や車の運転は、妊娠により体のバランスがとりにくくなるので避けた方がよいでしょう。運転する時は十分に注意してください。

妊娠がすすむにつれてお腹を突き出し背中を反った姿勢をとることが多くなります。これは、お腹が大きくなるので、身体の重心が変化するためです。そのため腰背部痛が出やすくなります。また、疲れやすくもなります。時々背伸びをしたりして、同一姿勢を長時間続けることはやめましょう。

下腹部に力の入る動作や、中腰の姿勢は避けてください。今まで持ったことのない重い物は持たないようにしましょう(言われなくても、するひとはいないですね)。

運動

妊娠していないときに行っていた運動は、特別なものをのぞいて継続されて構いません。特別なものというのは、レスリング、ボクシング、柔道(こんなものを妊娠してもしようという人はいませんね)、あるいはひとと競い合う競技、ゴルフ等です。乗馬、登山、スキーなど事故が起こる可能性があるものも避けた方がいいでしょう。

腹部が重くなってくると、ひとつひとつの動作が大変になり、運動不足に陥りがちです。適度な運動を行い、ストレスを発散させることが大切です。散歩、軽いマラソン、水泳などは構いません。マタニティースイミング、マタニティービクスは医師の診断書が必要な場合もあります。適切な指導者がいる施設で行うのがいいでしょう。 妊婦体操もいいでしょう。

旅行

旅行や乗り物に乗ることが原因で流産や早産をすることはありません。したがって、海外を含め旅行に行かれても構いません。

自宅におられても、出血したり破水したり流産や早産しそうになることがあるように、旅行先でもこのようなことが起こる可能性はあります。ですから、国内であれば母子健康手帳や健康保険証を持って行った方がいいでしょう。外国ならば、何かあった場合にかかることができる医療施設があることを確認してからお出かけください。

もちろん、流産しやすい妊娠4か月頃までや妊娠9か月以降は旅行は控えた方がいいでしょう。また、医師に相談してからお出かけください。

一人で出かけず、ゆとりのあるスケジュールを立てる等も大切です。

飛行機は、妊娠週数により医師の診断書が必要であったり、搭乗制限があります。事前に航空会社に確認してください。

温泉は、妊婦は避けた方がよいといわれている所がたくさんあります。行く前に確認しておきましょう。 せっかく温泉に行ったのに入れないなんてつまらないです。


里帰りのお産

妊娠9カ月(妊娠34−35週頃)までには里帰りするようにしましょう。

一度早めにその病院に行って、コンタクトをとりましょう。里帰りする時期を相談したり、その病院の雰囲気を見てくるのがよいでしょう。家族が代理で行かれても構わない病院もあります。

今までみてもらっていた病院から紹介状をもらってください。紹介状をもらうのは、最終的にその病院にかかる場合でも構わないと思います。

聖路加国際病院では、妊娠のどの時期でも、お産をされる方をおうけしています。通院先からの紹介状をお持ちになって、まず午前中の女性総合診療部に受診してください。

服装や下着

お腹が大きくなってきて、それまでの服装ではきつくなってくると、マタニティウェアが必要になってきます。選ぶときは、締めつけない(とくにお腹)、通気性・保温性がよい、着脱が楽、手持ちのものと組み合わせて着られる、などをポイントにし、用途や好みに合わせ用意しましょう。

妊娠中は汗もかきやすく、また皮膚も敏感になっています。肌に直接ふれる下着は、吸湿性がよく、むれない木綿などがよいでしょう。

乳房の形・大きさも変化するので、しっかり支えてくれるブラジャーをつけるようにします。また授乳のときにも使えるように、産前産後用ブラジャーも市販されています。止め具のないソフトタイプの乳帯もあります。これは、つわりで普通のブラジャーでは苦しいときなどに利用できます。

ショーツは、お腹を締めつけないものがよいでしょう。
要は、着ていて楽なものにすることです。

腹帯

日本には、お産の軽い「犬」にあやかり、お腹が大きくなってくる妊娠5か月の「犬の日」に腹帯を巻く風習があります。腹帯は、下腹部を支えてくれるため安定感があったり、腰痛が軽減することもあるという効果もありますが、妊婦用ガードルでも効果は同じです。

妊娠中に腹帯をする習慣は日本だけです。なくても問題はなく無理にする必要はありません。




お腹が大きくなってくると、長時間立っていたり、いすに座っていると、足がむくんでくることがあります。靴は、足を締めつけず本来の足の形が保たれるようなものがよいでしょう。

ヒールはあまり高くないもの、裏に滑り止めのあるものを選びましょう。


美容、肌

妊娠中はホルモンの影響で、色素沈着をおこしやすくなっています。直射日光にあたることでしみが濃くなることもあります。このしみは分娩後にはだんだん消えます。

妊娠中は皮膚が敏感になっていますので、化粧品はそれまでの使い慣れたものがよいでしょう。しかし、美容の基本は、やはり十分な栄養と睡眠、休息、そして便通を整えること、また自分なりの気分転換の方法をもっていることなどです。

お腹が大きくなるにつれて、妊娠線ができることがあります。これは、皮下組織があまりのびずに断裂してしまうからです。予防クリームの使用やマッサージもありますが、効果があるとは限りません。予防は、急激に太らないことですが、体質にもよります。一旦妊娠線ができると生涯消えませんが、色はしだいに薄くなります。


パーマ

つわりの時期やお腹が大きくなってからパーマをかける場合、においや同じ姿勢でいることによって気分が悪くなることがあります。パーマではなく、カットだけにして自分で手入れがしやすいスタイルにしたほうがよいと思います。

妊娠中は皮膚炎などもおこしやすくなっています。ヘアカラーなどはさけたほうがよいでしょう。

歯の健康

妊娠中はホルモンの影響で毛細血管が充血しているため、普段より歯ぐきなどから出血しやすくなっています。口の中を清潔にしておくことが大切です。痛むときは歯肉炎の可能性もあるので、歯科に受診しましょう。

妊娠すると唾液の分泌が増えることで口の中が酸性に傾き、虫歯になりやすいといわれています。

虫歯や歯肉炎があるときは、痛みがなくても体調の安定している時期に、あらかじめ治療しておきましょう。局所麻酔は胎児に安全です。

性生活

夫婦のスキンシップは大切です。妊娠中も性生活を避ける必要はありません。注意点としては、過去に流産・早産の経験がある、または今回その症状(出血やお腹の痛みなど)がある場合には医師に相談した方がよいでしょう。また、清潔に気をつけましょう。後半期はお腹も大きくなってくるので、圧迫しないような体位を工夫しましょう。





妊娠18週の赤ちゃんの顔と手がよく分かります。









妊婦さんが飛行機に乗る場合は、週数によっては搭乗制限があります。事前に航空会社に確認しましょう。












赤ちゃんは胎盤と臍帯でつながっています。臍帯は、それを通して栄養ももらい呼吸をする大切な命綱です。






妊娠36週の赤ちゃんです。横向きになった赤ちゃんの顔が判ります。羊水の中にいるのでちょっとくしゃくしゃとしていますが、かわいい赤ちゃんです。


妊娠中の栄養


「妊娠したら二人分の栄養を」というのは昔の話。今は世の中が豊かになって栄養状態がよいので、二人分の栄養をつけようと食べるのでは多すぎます。一般的には、妊娠前半であれば普段の摂取カロリー+150キロカロリー、後半でも+350キロカロリーで十分です。

食事の中では、カルシウムと鉄分が不足しがちになります。注意してカロリーが過剰にならないようにしながら、これらの栄養素をきちんと摂取しましょう。

食事に気をつければ、生活のリズムも整ってきます。栄養と生活のリズムが整えば、体はもちろん心も前向きに安定してきます。

妊娠前からの体重コントロールが大切です。不妊や排卵障害の一部は体重のコントロールだけで改善することが判っています。

標準体重の算出には、BMI(カウプ指数とも呼ばれる)と呼ばれる計算方法が用いられます。




例えば56kgで160cmなら、56÷1.6÷1.6=21.88がBMIになります。身長はmで計算してください。

BMIと妊娠中の体重増加の目標は、やせなら10kg以上、正常範囲なら10kg程度以内、肥満なら3-4kgがよいのではないでしょうか。

妊娠10か月の過ごし方

お産のための1週間足らずの入院でも、必要なものはかなりの量になります。直前になってあわてることがないよう、妊娠8か月に入る頃(妊娠28週ごろ)までには余裕をもって揃えましょう。

病院によって、支給されるもの、持っていくものが違います。必ず入院案内をよく読み、わからないことは前もって確認しましょう。

予定日が近づいたら

出産を控えて心配なのは、ひとりでいるときに陣痛が始まったらどうしようということですね。でも陣痛が始まりお産に至るまでには、早くても数時間かかるのが普通です。テレビドラマのように突然はじまったりはしません。最初は陣痛の間隔も長いので十分に余裕があります。この段階から病院に電話をして、相談しておくことが大切です。

予定日が近づいたら次の項目をチェックしておきましょう。

1)入院に持っていく荷物はまとめていますか?

2) 病院までの交通手段は決まってますか?

3) 病院まで車で行く方は道順を地図で調べましたか?

4) 病院までタクシーを利用される方は、タクシー会社を2〜3社決めましたか? 料金を確認しましたか?

5) いざというとき、来てくれる人(父母、友人など)を頼んでおきましょう。

6) 上の子の預け先を決めておきましょう。

7) 退院後の手伝いをしてくれる人を決めておきましょう。双子や三つ子などの多胎、何か病気でもない限りカップルで協力して最初の育児をスタートできると思いますが、いざというときに誰か頼めると心強いですね。

8) 赤ちゃん用品(衣類、肌着、おむつ、哺乳瓶など)を準備しましょう。買うもの、もらうもの、リースするものを考えておきましょう。

9) 赤ちゃんの寝る場所は決まりましたか?ベッドなどは準備しましたか。

10) 入院中に家族が困らないように、家族の衣類や小物を分かりやすいようにしておきましょう。

11) 各種の支払いをすませましょう。

12) 冷蔵庫の中の生ものなどを整理しましょう。

13) 保存の効く食料の買い置きをしておきましょう。この、11)、12)、13)は男性の仕事ですね。お二人で確認してください。

14) 入浴はこまめにしておきましょう。破水したら、風呂・シャワーにははいらないでください。

15) 入院はいつになるか判りません。入院したとき食事が出ない時間帯の可能性があります。そんな場合のために夫に軽食や飲み物の準備を頼んでおきましょう。

16) 連絡先などをまとめたメモを、電話の側に貼っておきましょう。

 ・ 病院の電話番号(代表番号、直通番号)
  ・ 診察カードの番号

  ・ 保険証の番号
  ・ 夫の職場の電話番号
  ・ 実家の電話番号
  ・ タクシー会社の電話番号(2〜3社)

分娩がはじまったら
こんな時は病院にすぐ連絡をしましょう

痛みを伴う規則的な子宮収縮がはじまったり破水かなと思った場合は、すぐ病院に連絡してください。連絡されるのは遅すぎることはあっても、早すぎることはありません。

陣痛がはじまったり、破水したらすぐ病院と思っていても、実際の場面では迷うことも少なくありません。陣痛がはじまったのかなと思うと、すぐに遠のいてしまったり、破水かどうかはっきりしない場合や、出血だけが多い場合などさまざまです。医師や助産師は皆さんからの電話を受けて、病院に着て頂いた方がよいか、もう少し待って頂いた方がいいか、判断してアドバイスします。とにかくあれっと思ったら電話をすることです。

病院では、皆さんからの連絡を受けて、「すぐ、入院の支度をしておいでください」とか「もう少し経過をみて、こんな状態になったらおいでください」とか「こんな状態になったら、また連絡をしてくださいますか」とか、「変化がなくても念のために明日の外来に受診してくださいますか」とかアドバイスをします。同時に、連絡があった方の名前や状態は細かく記録され、当直医や担当助産師が交代してもその情報は引き継がれていきます。

病院はもちろん24時間体制ですから、いつ連絡されても構いません。

陣痛や破水などがあり、病院に連絡した場合は次のようなことを尋ねられます。

  ・ 陣痛がはじまったのは何時頃からですか
  ・ 陣痛は今何分毎にきていますか
  ・ 破水は していませんか
 ・ 出血はありませんか、出血の量はどれぐらいですか
  ・ 胎動はありますか
 ・ 病院まで到着するのにどれぐらい時間がかかりますか
 ・ 担当医は誰ですか
 ・ いままでの経過でなにか異常はありましたか
 ・ 医師から特に注意されていること、あるいは指示されていることはありますか

  ・ 次の受診日はいつですか


情報ができるだけ正確に伝わるために、できる限りご本人に電話をして頂く方が望ましいです。
分娩がはじまるまで 工事中です
分娩第1期 工事中です


普通、10分ごとに規則的な痛みを伴う子宮収縮があると分娩はじまったと判断します。

私が勤めている聖路加国際病院には、LDR8室があります。

LDRには、安全な分娩のために次のような機器が備えられています。
1)陣痛台兼分娩台
2)酸素吸入器・吸引器

3)分娩監視装置
4)無影燈
5)インファントウォーマー


分娩第2期 工事中です
胎盤の娩出 工事中です
産褥期の過ごし方

妊娠・分娩によって生じた子宮や全身の変化が、完全に妊娠前の状態に回復するまでの期間を産褥期(さんじょくき)といい、6〜8週間を要するといわれています。

母体が妊娠前の状態に回復するための大切な期間です。産褥期には、子宮などが妊娠前に状態に回復したり、分娩のときに産道にできた創傷がなおったりします。また、乳汁の分泌が成立します。

妊娠中に大きくなった子宮は、お産直後からどんどん収縮して元の大きさに戻ろうとします。これを子宮の復古といいます。このとき陣痛に似た痛みがあることがあり、これを後陣痛といいます。初めてのお産の方に比べ、2回目以降のお産の方のほうが強いようです。子宮収縮剤を投与されると必要以上に強い痛みを感じることがあります。医師に話して子宮収縮剤の投与を中止してもらうのも一法です。

お産後のおりものを悪露といい、月経に似た出血がしばらく続きます。これは、胎盤がはがれた後の傷口からの血液、粘液、分泌物の混じったものです。お産直後は量も多く、色も血性です。しだいに量は少なくなり、色も薄くなって、茶褐色から黄色、白となって、色はなくなります。4〜6週間後に、悪露はほとんどなくなります。

悪露の量が急に増えたり、薄くなったものが再びまっ赤になる、塊が出る、下腹痛が続く、熱が出る、ようなことがあったら医師に相談しましょう。

こころの変化

出産後は、些細なことで不安な気持ちになったり、涙もろくなったり、憂鬱な気分になったりすることがあります。逆に気分が高ぶり躁(そう)状態になることもあります。

これは、妊娠から出産に伴って起こるホルモンの急激な変化、生活環境の変化などによるさまざまなストレスが影響していると考えられます。

そんなときはあんまりがんばらないで、誰かに助けを求め、十分な睡眠をとって、体も心も休息することが大切です。

育児について、思い通りにいかないからと、悩んだり焦ったりする必要はありません。だれでも、急激な変化が起これば、悩んだり焦ったりするものです。ひとりで悩まず、夫や担当医(産婦人科医でも小児科医でも構いません)、友人、地域の保健所などに相談しましょう。

産褥体操

産褥体操は、心身のリラックスや、全身の疲労回復につながる、お産後の美容と健康のための体操です。

お産で伸びて弱くなったお腹(お腹の弛みをなくするのにコルセットはお勧めできません)や骨盤の筋肉を引き締め、肥満の予防、尿もれの予防にも効果があります。

会陰切開の傷がある方、帝王切開でお腹に傷がある方も、少しずつ行っていきましょう。効果が出るにはある程度の時間が必要ですが、気長に継続してゆくことが大切です。

産褥体操は、楽な服装で行うようにしましょう。毎日続けましょう。

1)深呼吸


深呼吸は気持をリラックスさせます。血液循環をよくします。お腹の筋肉を強めます。体操をしているときの呼吸は、ゆっくりとした深呼吸で、特に吐くほうを意識して行います。また、息を吸うときは肛門の引き締めを意識しながら行います。

2)横になって足や頭をあげる運動

お腹を引き締めます。足の血液循環をよくし筋肉の疲れをとります。

3)立った姿勢で腰部の伸展運動

尿もれの予防に効果があります。背中の痛みを和らげます。お腹の筋肉を引き締めます。

6)肛門の引き締め運動

尿もれの予防に効果があります。どんな姿勢で行っても構いません。お尻の筋肉、肛門、腟、尿道口の順に引き締めてゆき、一呼吸おいた後ゆるめていきます。1日に10〜20回くらい、肛門、腟の引き締めを行ってみましょう。

妊娠中のさまざまの症状とその対策
出血
妊娠中にはしばしば出血します。とても不快な、気になる症状です。下記のような場合を除いて、病院に受診したほうがよい症状です。

病院に受診しなくても構わないのは次のような場合です。
1)予定月経の頃にある少量の持続する出血
2)分娩間近のいわゆる「おしるし」

既に診察を受けていて原因が明らかな場合の下記のような出血
1)妊娠11週頃までの切迫流産、進行流産による出血で、出血の量が月経の多い時を超えず、強い痛みを伴わない場合
2)妊娠のどの週数でもポリープなどによる出血で経過をみて構わないと言われている場合

出血は妊娠11週頃までは、流産、子宮外妊娠、胞状奇胎によって起こります。

妊娠12週から23週までは、主として流産に関係する出血です。

妊娠23週以降分娩までは、早産に関係する出血が多いのですが、(常位)胎盤早期剥離や前置胎盤による出血もあります。(常位)胎盤早期剥離では、突然2−3分毎の子宮収縮がはじまったり、強い持続する子宮収縮とともに少量の出血があるのが特徴的です。前置胎盤による場合は、朝、眼が覚めたらシーツまでしみるように出血していたというように、腹緊もなく大量の出血をすることが多いです。

そのほか、妊娠の初期から末期まで、もちろん頚管ポリープや子宮頚癌、子宮膣部びらん(子宮膣部びらんは、治療を要する病気ではありません)、感染などによって出血が起こることもあります。

取りあえず、出血があったら、病院に受診しましょう。例外的に受診する必要がないのは、上に示したような場合です。なお、特に早産に関係する場合は、出血量が少ないから安心という訳ではありません。量の多少に関わらず、必ず受診しましょう。

腹痛
妊娠初期から5-6か月頃、両方の足の付け根の上の部分(左右の下腹部)に、「突っ張るような痛み」「ちくちくするような痛み」「月経痛のような痛み」を訴える妊婦さんがおられますが、心配が必要な痛みではないことがほとんどです。子宮が大きくなって、子宮を支えている靱帯が引きつられるためとか、骨盤内に発達する静脈叢の痛み等という説明がされますが、本当のところその原因は不明です。いずれにしても様子を見られて構いません。

痛みで気をつけた方がよいのは、出血を伴う痛みです。妊娠初期には自然流産の徴候のことも、子宮外妊娠の症状であることもあります。子宮内に妊娠していることが確認されていない場合は、子宮外妊娠の可能性もありますから、病院に受診された方がよいでしょう。子宮内に妊娠されているが確認されている場合で、妊娠初期(3か月まで)に少量の出血があり軽い腹痛を伴う場合は、必ずしもすぐ病院に受診される必要はありません。切迫流産だとしても経過をみる以外に適切な治療法がないからです。

妊娠12週(4か月)に入って以降に出血を伴う痛みがあった場合は、直ちに病院に受診されるようにお勧めします。切迫早産のことや常位胎盤早期剥離の初期症状のことがあるからです。

痛みが規則的に来ていたり、お腹がはる感じを伴っていたり、腹部が盛り上がるような印象がある場合も、すぐ病院に受診されるようお勧めします。切迫早産のことがあるからです。特に出血はなくてもおりものが増加しているような場合は、注意した方がよいでしょう。

出血の他に、痛みに伴って、「嘔気・嘔吐」「腰痛」「下痢」「排尿痛・残尿感」のような症状のいずれかがある場合も、病院に受診されるようお勧めします。虫垂炎や腹膜炎、腎盂腎炎、胃腸炎、膀胱炎などが合併していることがあるからです。

まとめますと、腹痛があった場合は、最初に書いた例外的な場合を除いて、病院に受診された方がよいでしょう。特に、腹痛以外の症状を伴っている場合は、すぐに病院に連絡して指示を聞いた方がよいでしょう。
お腹がはる
破水した?
吐き気がする、嘔吐、胃痛 工事中です
足がむくむ


妊娠中は、朝方や夕方に多少のむくみがでることがあります。ホルモンの影響や大きくなったお腹の圧迫で血液の循環が悪くなること、運動不足などで体内に水分が溜まりやすくなることが原因です。

手の握りにくい感じがあるかどうかや、足の甲を指で押してみて押した跡が残るかどうかで、むくみの有無が判断できます。

手足が軽くむくむ程度のむくみや足だけのむくみは心配いりません。全身がつよくむくむ場合は、医師に相談してください。また、足がぱんとはって痛みを伴うような場合は、下肢静脈血栓症の可能性がありますから、病院に受診してください。

問題のない足のむくみには、次のことを試みてください。

1) 寝るときに足を高くしてみてください。足浴やマッサージなどで末梢にたまった血液を戻してみてください。

2)長時間立ち続ける動作を避けましょう。足を投げ出して腰掛けたり、横になったりして、同じ姿勢をとり続けないようにしましょう。休息も十分とるようにしましょう。

3) 血液の循環をよくするために簡単な運動をしてみましょう。例えば、いすに座って足首を背屈させたり、回してみたりしましょう。

便秘

妊娠中に増える黄体ホルモンの影響で腸の動きが鈍くなることや、妊娠末期では大きくなった子宮に腸が圧迫されて、便秘になりやすくなります。

便秘にならないように、次のことに気をつけてみましょう。

1) 繊維の多い野菜や果物をたくさんとりましょう。野菜ならオクラ、ブロッコリー、ゴボウ、ほうれん草など、果物ならバナナ、杏、キウイフルーツなどです。キノコ類もよいでしょう。

2) 毎日排便する習慣をつけましょう。毎日同じ時間にトイレに座ってみるのもよいでしょう。

3) 規則的な生活をおくり、適度に運動をしましょう。

4) 起床時に、冷たい牛乳やお水を一杯飲んでみてもよいでしょう。

便秘になってしまったら、便秘の薬を使って構いません。あかちゃんには影響しません。便秘の薬は、お母さんの体に吸収されて作用するわけではないからです。病院で処方してもらえます。

尿が近い、何回もトイレに行く

妊娠初期と後期は大きくなった子宮により膀胱が圧迫され、尿がたまるスペースが少なくなることによっておこります。

尿が近くなってしまったら、次のことに気をつけましょう。

1) 尿が近いからといって、極端に水分を控えるのはやめましょう。

2) 妊娠中は膀胱炎になりやすくなっていますので、尿意を我慢しないようにしましょう。膀胱炎の症状は、排尿後の痛み、尿が残っているような感じ(残尿感)、腰痛、発熱、尿の濁りなどです。膀胱炎になっている場合は、抗生物質で治療する必要があります。一般に膀胱炎に使われるセフェム系やペニシリン系の抗生物質は赤ちゃんに影響しません。膀胱炎などの尿路感染症は放置すると早産の原因になる可能性があります。

3) 尿が近くて睡眠不足の方は、寝る2〜3時間前に大量の水分をとるのは控えましょう。

こむら返り

こむら返りの原因はよく分かっていませんが、妊娠中は起こりやすくなり、厄介な症状ですね。妊娠による運動不足や疲労が関係する可能性があります。座っているときに、足首をぐるぐる回す運動は予防にお勧めです。妊婦体操も効果があるでしょう。

こむら返りがおこったら、腰を下ろし、つっている筋肉を伸ばします。足の親指をつかんで足の甲の方向に引っ張ったり、土踏まずなどの足の裏を指圧してやるのも効果があります。


大きくなった子宮に血管が圧迫され、うっ血して痔になりやすくなります。さらに便秘すると、強くいきんだりするためにおこりやすくなります。

排便時に痛みがあったり、出血したりします。医師に相談してください。

お産が終わるとほとんどの痔はなくなります。

予防と対策は次のようにしてみましょう。

1) なるべく便秘にならないように食生活を整えましょう。便秘薬を使って構いません。

2) 長時間立ち仕事を続けるのはやめましょう。

3) 痔になったら、排便後はぬるま湯などで肛門を洗い、清潔に保ちましょう。

4) 脱肛は、清潔にした後、軟膏をぬってそっと中に戻し、しばらくの間お尻を上げて休みましょう。

静脈瘤

静脈瘤とは、ふくらはぎや、太ももの皮膚に血管が青く浮きでたり、こぶ状に腫れるもので、外陰部にみられることもあります。

大きくなった子宮に骨盤内の血管が押されて、足から心臓への血液の戻りが悪くなるためにおこります。妊娠中のホルモンの影響もあります。

お産が終わるとほとんどなくなります。

予防と対策には次のようなものがあります。

1) 長時間の立ちっぱなしや歩行はしないようにしましょう。足を投げ出して椅子に座ったり、横になったりしましょう。横になった場合は、足を高くして休みましょう。

2) 軽い散歩や足の軽いストレッチ運動をしましょう。

3)足浴をしてみましょう。

4) 足を冷やさないようにしましょう。

5) 足に静脈瘤ができてしまったら、弾性ストッキングがよいでしょう。医師に相談してください。市販のものは、百貨店などのマタニティのコーナーにあります。薬局で売っているところもあります。サイズにあったもので、ストッキングタイプのものがよいでしょう。朝起きあがる前に、足を上げてはきましょう。日中はできるだけはいておいて、夜寝る前に脱ぎましょう。


仰臥位低血圧症候群

仰向けで長時間休んでいると、急に心臓がどきどきし、なまあくびや冷や汗が出てくることがあります。これは、妊娠で大きくなった子宮が、子宮のうしろの大きな静脈を圧迫するからです。

そんな時は、左右どちらでもよいので、身体を横向きにするとおさまります。美容院でシャンプーなどをしてもらう場合にも起こります。

妊婦健診の時に起こることもあります。健診中に気分が悪くなったり、あくびが出るような場合は、医師や助産師に遠慮なくお伝えください。



貧血があると言われた

ヘモグロビン(血色素)が11グラム/dl未満が貧血です。妊娠中に血液量が増える、胎児に鉄分を補給しなければならない、一般に鉄分の摂取量が少ないなどが、妊娠中に貧血が起こりやすい原因です。

貧血が続くと、お産後の回復が遅れたりすることがあります。分娩時の出血に対する備えや授乳中に必要な鉄分の蓄えのためにも、貧血にならないように注意しましょう。

貧血予防に効く食品には次のようなものがあります。鉄分は体内へ吸収されにくいので、鉄分を多く含む食品と同時に、体内への吸収を促進するさまざまのビタミンを多く含む食品と組み合わせて摂取するのが効果的です。

鉄分を多く含む食品:ほうれん草、肉類、卵黄、牡蠣、豆類、ひじき、焼き海苔

ビタミンB2を多く含む食品:牛乳、チーズ、卵白、納豆、干し椎茸

ビタミンB6を多く含む食品:トウモロコシ、レバー、魚介類

ビタミンB12を多く含む食品:魚介類、牛乳、海草類

ビタミンCを多く含む食品:柑橘類、野菜類

葉酸を多く含む食品: ピーマン、キノコ類、肉類

妊娠中や分娩中の検査
妊娠反応検査

受精卵が着床し妊娠が成立すると、絨毛(将来胎盤になる組織)からhCG(絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの分泌が始まります。妊娠反応とは、このhCGを測定する検査です。通常はお母さんの尿の中のhCGを測定しますが、血液中のhCGを測定することもできます。一般に妊娠反応といえば、尿を用いた検査を指します。

妊娠かどうか判定するために行います。市販の妊娠検査薬の多くは、受精から約2週間後(妊娠4週ごろ、28日周期の方では、月経が遅れる頃)に陽性となります。陽性の場合は産婦人科を受診しましょう。内診、超音波検査などを行い、胎児の発育は順調か、流産や子宮外妊娠になっていないかなどの確認をします。

妊娠中の血液検査


妊娠中の検査は、病気があって行う場合以外は健康保険の対象外で、自己負担になります。


1) 必ずうけていただきたい検査

血液型(ABO式、Rh式)


妊娠初期に検査します。妊娠・分娩時には緊急に輸血が必要になることがあります。また赤ちゃんとお母さんの血液型不適合があると、出生後赤ちゃんに黄疸が強く出たりすることがあります。ひどい場合は、あかちゃんがお腹の中でなくなってしまいます。

B型肝炎ウィルス、 C型肝炎ウィルス

妊娠初期に検査します。母児の感染予防の意味からも皆さんにうけていただいています。B型肝炎ウィルスが陽性の場合は、赤ちゃんが生まれた後にワクチンを接種すれば母児感染をほぼ防止できます。

貧血の検査

妊娠初期と末期に検査します。貧血がある場合はその原因を調べ、鉄欠乏性貧血であれば(妊婦さんの貧血のほとんどがこれです)、食事療法を行ったり造血剤(鉄剤)を服用します。造血剤は赤ちゃんに安全です。

梅毒検査

妊娠初期に検査します。梅毒にかかっていないかどうかを調べます。陽性でも早期に治療すれば赤ちゃんへの影響はほとんどありません。梅毒でなくてもまれに陽性に出る場合があります(これを生物学的偽陽性といい、妊娠中は起こりやすい現象です)。

2)ご希望によってうけていただいている検査(うけていただいたほうがよい検査)

HIV

妊娠初期に検査します。AIDS(エイズ)の検査です。一部の地域では公費負担で行われています。

風疹抗体価

妊娠初期に検査します。妊娠の初期に風疹にかかると、赤ちゃんが先天性風疹症候群になることがあります。抗体があるかどうか不確かな方はこの検査をうけられるようお勧めします。抗体がない場合は分娩後に予防接種をうけられるとよいでしょう。生アクチンのため妊娠中は風疹の予防接種はできません。

50gGCT(50グラムブドウ糖負荷試験)

妊娠糖尿病のスクリーニング検査です。50グラムブドウ糖液を服用し、1時間後の血糖値を測定します。これが一定値(150mg/dl)以上の場合、更に精密な検査が必要になります。糖の代謝に問題があ