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外陰膣炎
外陰部と膣は隣り合わせのために、区別することが困難で、またしばしば同じ原因で炎症が起こります。これを外陰炎とか腟炎、あるいは両方併せて外陰腟炎と呼びます。痛みやかゆみ、(悪臭のある)帯下(おりもの)の増加、出血、性交痛などが起こります。
カンジダなどのかび、ブドウ球菌や大腸菌などの細菌、ヘルペスなどのウィルスなどの感染によって起こるものと、かぶれ(石鹸や消毒液、便や尿、下着やナプキンなどによる刺激、医薬品などに対するアレルギーなどでおこり、接触皮膚炎の一種)や、ベーチェット病やクローン病によるものなどがあります。
人間や動物など全ての生き物は、外界のさまざまな生命体とバランスを保ちながら暮らしています。
腟にはデーデルライン桿菌という常在菌がいます。この細菌の働きで腟内は酸性に保たれ、その他の細菌が増殖しにくい環境になっています(これを自浄作用と呼びます)。抗生物質の服用や糖尿病、あるいは不潔な性交渉などでこのバランスが乱されると、その他の細菌や微生物が増殖し、炎症が起こります。これが腟炎です。たとえばカンジダは多くの女性の腟内にふつうに認められますが、抗生物質の服用や妊娠を契機としてバランスが崩れると増殖してカンジダ腟炎をおこします。
閉経後には卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下して腟粘膜が萎縮し、腟の自浄作用が低下するので、感染がおこりやすくなり、出血や茶褐色の帯下が増加することがあります。これを萎縮性腟炎と呼びます。
外陰腟炎は問診と内診によって疑われ、外陰や膣にいる細菌を顕微鏡で調べたり、培養して診断します。
治療に当たっては、増殖した微生物を押さえる薬剤の使用と同時に、自浄作用を促し、バランスを回復するような方法がとられます。
子宮内膜炎
子宮内膜に細菌が入って炎症が起こった場合、これを子宮内膜炎と呼びます。子宮内膜の部分(子宮内腔)は通常無菌的で、普段ここに炎症が起こることはあまり多くはありません。子宮内の手術的操作(子宮内膜組織診、子宮内容除去術、子宮鏡検査)や分娩、帝王切開の後などに、膣の方から細菌が入って起こるのがほとんどです。
付属器というのは、子宮の横についている器官のことで卵巣と卵管がそれに当たります。この付属器は、腹腔内(腹膜で囲まれた閉鎖されや空間)にあります。この付属器やその周辺の腹膜に炎症が起こったものを、付属器炎とか骨盤腹膜炎と呼びます。子宮内腔や子宮筋層にも炎症が起こることがあり、どこに炎症が起こっているかはっきり判らないことも多いので、一括して骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory diseases、PID)と呼ぶこともあります。
腟から入った細菌が子宮を通って付属器に感染したものが付属器炎です。しばしば炎症がひろがって骨盤腹膜炎やPIDになります。
発熱、下腹部痛や悪臭のある、汚い色の帯下の増加などが症状です。
問診、内診、超音波断層法、MRI、CT、血液検査、細菌の顕微鏡検査や培養検査などで検査します。
治療には抗生物質の処方や点滴が行われます。腹腔内に膿がたまった場合は、膿をくみ出すドレーンと呼ばれる管をお腹の中から外に差しておくこともあります。
性行為感染症(Sexually transmitted disease:STD)
クラミジア感染症、淋病、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、毛じらみ症など性行為によってうつる感染症のことを指します。
性器どうしの接触によっても、また、性器から口、口から性器へといった経路でも感染します。性感染症にかかったときは、パートナーも同時に治療を行う必要があります。両者間に性交渉がある限り、うつっているはずであるという前提で治療した方がよいでしょう。治療中は性交渉を中止して、同時に治療しなければ、お互いに交互に治癒と再感染を繰り返すことになります(これをピンポン感染と呼びます)。
きちんと薬を服用すること、また、なおったかどうかの判定や、半年あるいは1年後に再び感染していないかどうかを調べるために、指示されたときに再受診することが大切です。
バルトリン腺嚢胞(のうほう)は、バルトリン腺嚢腫(のうしゅ)、バルトリン嚢胞、バルトリン嚢腫などとも呼ばれます。 バルトリン腺は腟の入り口で、時計に例えれば5時と7時の方向にあり、性的刺激で粘液を分泌します。その出口が塞がり、外に分泌されるはずの粘液がその内部に溜まり膨らんできたものがバルトリン腺嚢胞です。細菌が入ったりして感染が起こらなければ、しこりとして触れる違和感があるだけで、それ以外の症状はありません。感染が起こると急に腫大して、座れないぐらいの強い痛みを引き起こします。これをバルトリン腺膿瘍(のうよう)といいます。
感染がある場合でもない場合でも、切開して入り口が閉鎖しないように、糸でとめておきます。局所麻酔で外来で処置することができます。
子宮筋腫は子宮の筋肉からできる良性のできもの(腫瘍)です。できる原因はよくわかっていません。
子宮筋腫は婦人科の病気で最もありふれたもののひとつで、よく調べると30歳以上の女性の20〜30%にみられます。病理学的検査では、40歳台の女性の70%にみられるという報告もあります。
子宮筋腫は卵巣から出る女性ホルモンの作用により発育します。閉経後には卵巣から女性ホルモンが出なくなることにより子宮筋腫の発育はとまり、むしろしだいに縮小します。子宮筋腫があるといわれただけで、深刻に心配する必要はないことがおおいのです。ほとんどの方は特別な治療を必要としません。
子宮筋腫は何個もできることが少なくありません。1個1個は筋腫核と呼ばれます。また、できる部位によって、漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫などと呼ばれます。
子宮筋腫と似ていて、しかし区別しないといけない病気に、子宮腺筋症と子宮肉腫があります。子宮腺筋症は子宮の壁が厚く、硬く、大きくなる病気です。子宮肉腫は子宮の筋肉からできるまれな悪性腫瘍です。
これらを区別するために、超音波検査やMRI、血液検査などが行われますが、子宮筋腫と子宮肉腫の区別は、難しいことがあります。
子宮筋腫の治療は、基本的に手術療法です。それぞれの方の筋腫のタイプや希望に合わせて、子宮全摘術、子宮筋腫核出術などを、開腹して、あるいは腹腔鏡を使って、あるいは子宮鏡を使って行います。最近はこうした方法以外に、子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization: UAE)やMRIを利用した集束超音波療法などが開発されてきました。薬物療法は、手術前の一時的な効果をねらって用いられます。
本来子宮内腔にある子宮内膜組織が、子宮筋層内で発育する病気です。子宮筋層内で月経と同じような出血が起こるために、強い月経痛があり、子宮は次第に増大し硬くなります。病変部分は、子宮筋層内に散らばっているために、病巣をだけを切除することができません。完全に切除するためには、子宮全体を切除する(子宮全摘)が必要になります。子宮筋腫の場合は、筋腫が正常な筋層の部分と明確に区別できるので、その部分だけを切除できるのとは大きく異なっています。一方、子宮内腔も増大するために、過多月経になり、貧血になることがあるのは共通する点です。また、不妊の原因になることもあります。腫瘍マーカーのCA125がしばしば高い値を取ります。
閉経すると子宮腺筋症も縮小します。
問診や内診、超音波断層法やMRI、血液検査のCA125で、子宮筋腫とは区別して診断することが多くの場合可能です。
良性の病変ですから、症状がなかったり弱い場合は、そのまま経過をみて構いません。
根治には子宮全摘しかありませんが、症状を軽減するために子宮の部分切除を行うこともあります。また、月経を止めることによって症状の一時的な軽減を図ることもあります。妊娠によって子宮腺筋症はある程度軽減します。妊娠を希望されている方は早めに妊娠されることをお勧めします。
卵巣腫瘍(嚢腫)
卵巣に"できもの"ができた状態を指します。腫瘍というのは"できもの"を指す言葉ですが、嚢腫はそれに水がたまった状態を指します。悪性、良性を問わず卵巣腫瘍では中に液体がたまることがほとんどなので、実際には卵巣腫瘍と卵巣嚢腫という言葉は区別して使われてはいません。
卵巣腫瘍の一番の問題は、それが悪性(卵巣癌)ではないかということです。悪性かどうかの最終診断は、組織検査(腫瘍を顕微鏡で丹念に調べる検査)によります。卵巣は腹腔内にありますから、組織検査は開腹をしないと行うことができません。つまり開腹してみないと悪性か良性かの最終診断はつきません。しかし、超音波断層法やMRI、CT、血液検査の腫瘍マーカーなどである程度、悪性か良性かの予測をすることは可能です。
二番目の問題は、良性であっても、茎捻転(卵巣腫瘍がねじれて、卵巣が変性してしまう)を起こしたり、腹痛や腰痛の原因になったり、不妊症の原因になったり、分娩の障害になったりすることがあることです。
超音波断層法やMRI、CT、血液検査の腫瘍マーカーなどで悪性の可能性を示すものがなく5-6cm以下の小さな病変の場合は、経過をみることができます。この場合は4か月に1回程度受診して頂く必要があります。
最終的な治療には手術しかありません。
良性の場合は腫瘍部分だけを切除(核出)するか、もしくはそちらの側の卵巣を切除します。また、悪性の場合は転移の可能性を考慮して病変部分よりさらに広く切除します。
開腹手術の際には、迅速診断といって組織のごく一部を凍結させて顕微鏡下に観察し悪性か否かを判別して、それ以降の手術の進め方を決める方法がとられることがあります。しかし、最終診断は卵巣腫瘍の全体をきちんと固定(標本を作るプロセスの一つです)して、顕微鏡下に調べるので結論が出るのに2週間ぐらいかかります。このため、稀にこの最終診断の後に、再手術が必要になることがあります。
卵巣がん
卵巣にできる悪性腫瘍です。次第に増加してきていますから注意が必要です。妊娠したことのない方、不妊の方、家族に卵巣がんの人がいる方、動物性脂肪を多くとる方などは卵巣がんになりやすく、経口避妊薬(ピル)を飲んでいる方はなりにくいといわれています。
卵巣がんの種類は実に多彩です。多くは上皮性卵巣がんと呼ばれるもので、漿液性腺がんや粘液性腺がんが含まれます。
悪性度が比較的低く、良性の腫瘍に近い卵巣がんは境界悪性腫瘍と呼ばれます。
卵巣がんの進み具合は進行期分類で示します。0、I、II、III、IV期に分けられますが、IV期の方が進行した状態です。
手術前に卵巣がんの可能性が高いと診断されると、まず、病変がどこまで進行しているかを知るために、内診や直腸診(肛門の方からみます)を行います。腹部超音波検査、MRIやCT、膀胱鏡、直腸鏡、腎盂尿路撮影、胸部レントゲン検査なども行って病変に進行度を判断します。
それによって、手術、化学療法のどれを選択するか、あるいはどのように組み合わせるか、手術をするとすればどこまで切除すればよいか(例えばリンパ節はとった方がよいか、またどこのリンパ節をとればよいかなど)を判断します。
がんは病理組織でしか診断できないので、卵巣がんの場合は、手術前に確定診断をすることができません。可能性が高いとか、可能性が低いとかの診断ができるだけです。このために、お腹をあけたときの所見や迅速組織診断から、手術の術式を決めます。しかし、最終的ながんの診断がつくのは(あるいはがんではなかったと診断されるのは)、手術が終わって2週間近く経過して最終病理診断がでてからです。このため、特に若い方でこれから子どもを作りたいと考えている方の場合は、手術前にさまざまな場合を仮定して、それぞれの場合にどのような手術を行うかをよく相談させて頂きます。
がんの化学療法(抗がん剤による治療)はどんどん進歩してきましたが、特に卵巣がんの治療での進歩は著しいものがあります。進行したがんだからとあきらめる必要はありませんが、残念ながら万能でもありません。担当医とよく相談し、ご自身の病気のことをよく理解して治療法を選択してください。
傍卵巣嚢腫
卵巣のすぐ横にできる薄い袋でできた漿液性の(さらさらした液体がはいった)嚢腫です。良性のできもので、超音波断層法やMRIで卵巣と区別して診断できることも多いのですが、なかなか区別しにくいこともあります。直径が数mmから10cm以上になるものもあります。放置しておいても構いませんが、卵巣腫瘍と区別がつかない場合や不妊の場合で5-6cm以上の場合は腹腔鏡下に切除するようお勧めします。
本来子宮内腔にある子宮内膜組織が、子宮以外の場所で発育する病気です。つまり子宮内膜症という病気は、子宮内膜そのものの病気ではありません。子宮内膜が発育し易い場所としては、卵巣(月経様の血液が貯留するために中味がチョコレート状になるのでチョコレート嚢腫とも呼ばれています)、骨盤腹膜(骨盤内に広範な癒着が起こることがあります)が挙げられますが、稀には臍、鼻腔、肺等で発育することもあります。
月経時の強い下腹部痛や腰痛(月経痛)が主な症状です。骨盤腹膜に子宮内膜症ができると、その腹膜と周囲組織(腸、子宮、卵巣、卵管など)との間に癒着がおこります。この癒着のために不妊の原因になることもあります。ダグラス窩といわれる子宮と直腸の間に癒着ができると排便痛や性交痛が起こることもあります。
子宮内膜症は卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の作用で発育します。閉経後には卵巣から女性ホルモンが出なくなるので子宮内膜症の進行はとまり、次第に萎縮していきます。
症状についての問診と内診から子宮内膜症が疑われます。診断には超音波断層法やMRI、CT、血液のCA125が用いられます。診断の確定のために、腹腔鏡検査が行われることもあります。
治療には病巣を切除する手術やダナゾール、GnRHアゴニスト(ナサニールやスプレキュア、リュープリンなど)による薬物療法がありますが、薬物療法には限界がありますので、担当医と十分に相談することが大切です。
子宮奇形 (詳しくはこちらをご覧ください)
成人の子宮は、前後にややつぶれた洋なしを逆さまにしたような形をしており、内腔は三角形になっています。この形が完成するのは胎児期ですが、完成前は左右二つの子宮がありそれが癒合して一つの子宮ができあがってきます。この癒合がさまざまの段階で止まったものが、子宮奇形と呼ばれるものです。子宮が左右ふたつに完全に分かれたもの(重複子宮)、不完全に分かれたもの(双角子宮)、内腔だけが左右に分かたもの(中隔子宮)、痕跡程度に内腔が左右に分かれたもの(弓状子宮)などがあります。また、分かれた子宮の一方の発育が悪いもの(副角子宮)や膣の発生障害を伴うものもあります。腎臓の奇形を伴うこともあります。子宮奇形はまれな状態ではなく、およそ5%にみられます。
子宮奇形の多くは何の症状もありません。普通に妊娠し出産することができます。しかし、一部のものでは習慣流産や、早産、難産の原因になることがあります。妊娠する場所によっては子宮外妊娠のような症状を起こすこともあります(副角子宮妊娠)。
子宮奇形は、原発性無月経、強い月経痛、習慣流産のような症状や内診によって気づかれ、超音波断層法やMRI、子宮鏡検査、子宮卵管造影検査などで診断されます。何の治療も必要ない場合も多いのですが、開腹手術や子宮鏡による手術が必要な場合もあります。この手術の経験を積んだ産婦人科医は多くありません。担当された医師と相談し、適切な病院に紹介をして頂いた方がよいでしょう。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵巣に卵胞(卵子が入った袋状のもの)がたくさん出来るのですが、なかなか排卵できない病気です。多嚢胞性卵巣症候群というのは長い名前なので、英語名のpolycystic
ovary syndromeを略してPCOとかPCOSと呼ばれることがあります。PCOでは、全く排卵しなくなってしまうことも、時々排卵することも、月経周期が延びてしまうことも、黄体機能不全になることもあります。また、多毛になったり、にきびができやすくなることもあります。さらに、卵巣に超音波断層法で多数の卵胞が認められる場合があるなど症状は様々です。LH(下垂体から分泌される黄体化ホルモン)や男性ホルモンが高値になることが多いのですが、どうしてそうなるのか、原因はよくわかっていません。進行性の病気と考えられていますが、自然に治ってしまうこともあるようです。
典型的な場合は、初経時から月経不順があります。また、糖代謝の異常がある方もおられます。
妊娠を希望しない方で、月経不順や多毛などの症状が少ない場合は経過をみるだけでも構いませんが、排卵しない周期がしばしばあったり、長い間無月経が続く場合は治療が必要です。いずれにしても、基礎体温をつけられ定期的に受診していただくことが大切です。
妊娠を希望されていて月経不順がある場合は、クロミッドのような排卵誘発剤を用いたり、メトフォルミン(日本ではPCOの治療薬として認可されていませんが、欧米ではその有効性が証明されています)と呼ばれる糖尿病治療薬を使います。また、腹腔鏡で卵巣に小さな傷をつける手術を行うこともあります。
PCOは、特に注射による排卵誘発を行うと卵巣過剰刺激症候群を起こしやすいという問題と子宮体がんになりやすいという問題があります。子宮体がんになりやすいのはエストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れるためです。大切なことは、月経不順や無月経を放置しないことです。長い間放置すると子宮体癌になりやすくなります。
卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:OHSS)
主として、排卵誘発剤の投与によって起こります。卵巣は時に直径10cm程度の大きさまで腫大し、尿量が減少し、大量の腹水や胸水が貯留し、尿もでなくなり、危険な状態です。特に呼吸困難や強い下腹部痛、あるいはベルトが合わなくなったというような症状がある場合は、すぐ受診してください。稀にですが、お母さんに後遺症を残すような重篤な状態がひきおこされることがあります。
卵巣の働きは40歳頃から次第に低下し、45〜55歳位で完全に働きを終了して月経が停止します。卵巣の働きは卵巣に残っている卵子の数で決まります。初経の頃には30万個程度あるとされる卵子が、閉経の頃にはほぼゼロになります。これが閉経です。
卵巣からでる女性ホルモン(エストロゲン)も、閉経前後には急激に減少します。女性ホルモンの低下に伴ってさまざまな症状がではじめるのが更年期で、閉経前後の数年間をさします。完全に閉経した以降は閉経期とも呼ばれます。
この時期には女性ホルモンの低下に伴うさまざまな症状が出てきます。更年期は全ての女性に訪れるもので、どなたにも多かれ少なかれ症状が出ます。症状の出方には個人差があり、また、精神的なストレスにも大きく左右されます。
更年期の最も特徴的な症状はホット・フラッシュとも呼ばれる「ほてり」、「のぼせ」、「発汗」などの血管運動神経障害と呼ばれる症状です。体や手足は冷たいのに突然顔がかっと熱くなったり、流れ落ちるほどの汗をかいたりします。突然おこり、しばらくするとおさまります。1日に何回もこういった症状が出ることがあります。夜中に「発汗」がおこると、不妊の原因になることもあります。
肩こり、腰痛、関節痛など、いわゆる「老化」としてとらえられがちな症状も、更年期の症状としておこることがあります。
不眠、いらいら、無気力、不安・焦燥感、うつ状態などがあらわれやすくなります。
手足のしびれ、感覚が鈍くなる、味覚が変わる、体を蟻がはうような感じ(蟻走感)などがでることもあります。
局所的には腟の粘膜が薄く弱くなり分泌物も減るため、腟の乾燥感、痒み、ひりひり感などがあらわれてきます。このため性交時に強い痛みを感じることがあります。
また、尿が近い、出にくい、尿もれなどの症状が出ることもあります。
更年期障害の特効的治療法は、ホルモン補充療法(HRT)です。使う理由を明確にして、短期間(1-2年間)使う程度であれば、副作用が問題になることは稀です。また、漢方薬、精神安定剤、カウンセリングなどが有効なこともあります。もちろん、例えばホット・フラッシュがあるときは、着替えを準備されて外出されるとかの準備も大切ですし、何よりも更年期を前向きに捉える姿勢が重要です。
長い目で見ると、更年期以降は、女性ホルモンの低下によってコレステロールや中性脂肪の増加がおこり、男性と同じように、高脂血症や動脈硬化、心筋梗塞の発生が増えてきます。また、骨粗鬆症にもなりやすくなります。今まで以上に計画的に運動をする、カルシウムを十分に摂る、塩分を控えるなども大切になります。
子宮頚部異形成とは、正常の子宮頚部上皮と子宮頚がんの中間のような上皮の状態を指します。前がん病変といってもよいのですが、すべてががんになるわけではありません。異型上皮は程度により軽度・中等度・高度異型上皮に分けられ、高度になるほど将来がんになる可能性が高くなります。軽度・中等度・高度異形成はそれぞれCIN1・CIN2・CIN3と呼ばれることもあります。CINはCervical Intraepithelial Neoplasm(子宮頚部上皮内腫瘍)の略です。
軽度異形成の約5%が中等度異形成を経て高度異形成や早期の子宮頚がん(上皮内がん)に進行するといわれています。中等度異形成は15%くらいが高度異形成や早期のがんへ移行するといわれています。高度異形成の場合はその周辺に既にがんが存在している可能性があり、15〜20%くらいが早期のがんへ移行するといわれています。
こうした変化は、急激に起こるのではなく数年を要するといわれています。
子宮頚部異形成かどうかは、細胞診(いわゆるがん検査)で疑われ、病理組織診断で確定されます。病理組織診断には最もあやしい部位を検査する必要があるので、コルポスコピーという拡大鏡を用いて組織を採取します。また、時には子宮頚部円錐切除で病変の広がりを確認する必要があることもあります。
軽度異型上皮と中等度異型上皮の場合は経過を見られて構いません。4-6か月に1回程度受診して頂き経過をみます。中等度異型上皮で、ご心配な場合は、レーザーによる病変部の蒸散やLeepという器具を用いた切除、あるいは円錐切除を受けられるのも一法ですが、経過をみて頂いても特に危険性が高いということはありません。高度異型上皮の場合は、最終的な診断と治療をかねてLeepによる切除もしくは円錐切除をお勧めします。たとえ、上皮内癌やごく早期の浸潤がんが発見されても、この治療だけで十分なこともあります。
子宮頚がんは子宮の入り口にできる悪性腫瘍です。女性のがんの中では胃がん、乳がんに次いで多いものです。がん検診の普及により、早期に治療をうけ治癒する方も増えてきました。子宮頚がんにはいくつかの種類がありますが、最も多いのは扁平上皮がんで、次いで腺がんと呼ばれるものです。いわゆる子宮がん検診は、扁平上皮がんを対象として行うものです。腺がんは、子宮頚部のやや深いところにできるので、診断が難しいことがあります。
不正出血、下腹痛、腰痛などで受診されて診断される方もいますが、最近は子宮がん検診で見つかる方も増えています。診察ですぐがんと判る方もいます。この場合は、がんと思われる一部を切り取る病理組織診を行って診断を確定します。検診の場合は、まず細胞診を行って、がんが疑われる場合に病理組織診を行います。病理組織診を行う場合は、病変のありそうな部位を切除する必要があるので、コルポスコピーと呼ばれる拡大鏡で調べながら組織を切除します。また、子宮頚部全体を切り取る子宮頚部円錐切除術を行うこともあります。
子宮頚がんの進み具合は進行期分類で示します。0、I、II、III、IV期に分けられますが、IV期の方が進行した状態です。
子宮頚がんと診断されると、まず、病変がどこまで進行しているかを知るために、内診や直腸診(肛門の方からみます)を行います。腹部超音波検査、MRIやCT、膀胱鏡、直腸鏡、腎盂尿路撮影、胸部レントゲン検査なども行って病変に進行度を判断します。
それによって、手術、放射線、化学療法のどれを選択するか、あるいはどのように組み合わせるか、手術をするとすればどこまで切除すればよいか(例えばリンパ節はとった方がよいか、またどこのリンパ節をとればよいかなど)を判断します。
子宮内膜増殖症
子宮内膜増殖症と子宮体がんの関係は、子宮頚部異形成と子宮頚がんの関係と似ています。子宮内膜増殖症にもさまざまなタイプがあります。このうち、特に問題があるのは子宮内膜異型増殖症・混合型といわれるものです。それ以外のものは経過をみて構いません。子宮内膜異型増殖症・混合型は、ごく初期の子宮体癌が含まれることがあり、治療を必要とします。
子宮内膜にできるがんです。いくつかの種類がありますが、ほとんどは類内膜がんと呼ばれるものです。 それ以外に、類内膜腺がん、漿液性腺がん、明細胞腺がん、粘液性腺がん、扁平上皮がん、混合がん、未分化がんなどができることもあります。子宮体がんの頻度は年々増加する傾向にあります。月経不順の方、分娩経験のない方、糖尿病や高血圧の方、肥満している方は子宮体がんになりやすいといわれています。
子宮体がんは、不正出血で受診されて発見されることが多いのですが、不妊で子宮鏡検査を行った際に発見される方もおられます。子宮体がんの診断は、子宮内膜組織診で行います。不正出血がなく、検診として行う場合は、子宮内膜細胞診をまず行うこともあります。子宮内膜組織診だけでは十分な診断ができない場合、子宮内膜の掻爬(全部掻き出してしまうこと)を行います。
子宮体がんの進み具合をあらわすのに進行期分類があります。I、II、III、IV期に分けられますが、IV期の方が進行した状態です。
子宮体がんと診断されると、まず、病変がどこまで進行しているかを知るために、内診や直腸診(肛門の方からみます)を行います。腹部超音波検査、MRIやCT、膀胱鏡、直腸鏡、腎盂尿路撮影、胸部レントゲン検査なども行って病変に進行度を判断します。
それによって、手術、放射線、化学療法、ホルモン療法のどれを選択するか、あるいはどのように組み合わせるか、手術をするとすればどこまで切除すればよいか(例えばリンパ節はとった方がよいか、またどこのリンパ節をとればよいかなど)を判断します。
悪性腫瘍には大きく分けてがんと肉腫の2種類があります。皮膚や粘膜の表面(上皮といいます)に発生するものをがんといい、筋肉や骨など上皮以外の場所に発生するものを肉腫と呼びます。
子宮にできる肉腫を子宮肉腫といいます。子宮頚がんや体がんが、子宮頚部や子宮体部の粘膜に発生しするのに対して、子宮肉腫は子宮内膜の深い部分や子宮筋層に発生します。
子宮肉腫は子宮頚がんや子宮体がんに比べるとかなりまれな悪性腫瘍です。
子宮肉腫には平滑筋肉腫、がん肉腫、子宮内膜間質肉腫、腺肉腫などがあります。
不正出血や下腹部痛などで発見されることもありますが、子宮筋腫と思って手術をしたら肉腫であったということもあります。
子宮肉腫は子宮内膜の深い部分や子宮筋層に発生するために手術前には診断が困難であったり、手術後になって初めて気付かれることも少なくありません。
子宮肉腫の疑いが強い場合は、周囲の臓器や全身の他の臓器に広がっていないかどうか調べるために、肛門からの診察、腎盂尿管造影(腎臓、尿管、膀胱をうつす造影検査)、胸部X線検査、腹部超音波検査、膀胱や大腸の内視鏡検査、MRIやCTなどを行うことがあります。
MRIやCTでは骨盤の断層撮影を行います。これで病変の大きさ、骨盤リンパ節への転移がないかなど、病気の広がりを手術の前にある程度診断することができます。
子宮肉腫の疑いが高い場合は、まず、病変がどこまで進行しているかを知るために、内診や直腸診(肛門の方からみます)を行います。腹部超音波検査、MRIやCT、膀胱鏡、直腸鏡、腎盂尿路撮影、胸部レントゲン検査なども行って病変に進行度を判断します。
それによって、手術、放射線、化学療法、ホルモン療法のどれを選択するか、あるいはどのように組み合わせるか、手術をするとすればどこまで切除すればよいか(例えばリンパ節はとった方がよいか、またどこのリンパ節をとればよいかなど)を判断します。
卵管癌
卵管に発生するまれながんです。症状は不正出血で気付かれることが多いのですが、細胞診で診断できないことが多く、また手術前に組織診が不可能なので、診断が難しいことがあります。診断には開腹手術や腹腔鏡検査を必要とします。手術や化学療法は卵巣がんに準じて行われることが多いです。
子宮脱・膀胱脱
子宮脱や膀胱脱は二本足歩行をする人間にしかみられない病気といわれています。骨盤の一番下の部分は骨盤底と呼ばれますが、この部分は靭帯と呼ばれる線維と、筋肉や筋膜(筋肉をつつむ硬い膜)で支えられています。四本足で歩く動物ではこの部分に力が余り加わりませんが、人間は直立して歩くためにこの部分にちからが加わります。このために、骨盤底を支えている組織が弱くなり、特に女性では、子宮や膀胱が腟の下の方へさがって腟からでっぱってきます。これを子宮脱とか膀胱脱と呼びます(総称して性器脱とも呼ばれます)。それ以外に直腸や小腸が出てくることもあります。高齢の方や分娩回数の多い方でなりやすい傾向があります。
子宮脱や膀胱脱は問診や内診で診断します。たった状態で診察を行うこともあります。また、尿検査、膀胱や腎臓のレントゲン検査、尿失禁の検査などを行います。
治療には、手術とペッサリーの挿入があります。ペッサリーは子宮を押し上げておくリング状の器具でこれを膣の中に入れておきます。手術はほとんどの場合、膣の方だけから可能です。開腹する必要はありません。
尿失禁
排尿しようとしていないのに尿が漏れてしまう状態を尿失禁といいます。女性の場合は、腹圧性尿失禁といって、咳やくしゃみしたとき、あるいは大声で笑ったり、重い物を持ったときなど、お腹に力が入った場合におこるものです。尿失禁は、女性に多く5人に1人は尿失禁に悩むとも言われています。
尿失禁は、どんなときに漏れるか、時には尿失禁の記録をつけて頂くなど症状をよく伺って診断します。膀胱内圧を測ったり、排尿時の膀胱尿道撮影などの検査を行うこともあります。
腹圧性尿失禁では、骨盤底体操と呼ばれる尿道を閉める体操をすることでかなりの改善が期待できます。子宮脱や膀胱脱を伴う場合は、それと同時に、あるいは別に、また子宮脱や膀胱脱を伴わない場合は、尿道を吊り上げる手術を行います。