| 腫瘍マーカー | ||||
| Q:腫瘍マーカーって何ですか? A:腫瘍マーカーというのは、腫瘍(多くの場合は悪性腫瘍、つまりがん)細胞が作る、あるいは腫瘍細胞に反応して生体がつくる物質です。血液中(尿中のこともあります)にあるその物質の濃度を測ります。 腫瘍マーカーを検査する目的は、がんの有無やその進行や治療経過、再発の有無、場合によってはがんの種類を知るためです。 しかし、決して万能ではありません。例えば、血液でがんがあるかどうか判るのなら、面倒ながん検診など不要ということになりますが、実際にそうはなっていませんね。これは、がんの有無を知る上で、腫瘍マーカーにはなお大きな限界があるからです。特に早期がんの発見という意味では、現状では全く無力と言っていいでしょう。 がんに対する治療を行った場合、腫瘍マーカーは、その治療効果を知る、あるいは再発の有無を知る上ではかなり大きな力を発揮します。これが現在の腫瘍マーカー検査の実際的な有益性です。 産婦人科領域で、しばしば検査される腫瘍マーカーには、SCC抗原、CEA、CA19-9、CA125、AFP、hCG、CA72-4等があります。この他、たくさんの腫瘍マーカーがあります。 以下、腫瘍マーカについては「基準値」を記載しました。「基準値」というのは、その値の範囲内にあれば、おおむね大きな問題はないであろうと判断できる値と考えてください。「基準値」を超えていても、問題がないこともありますし、基準値以下でも問題があることがあります。 |
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| Q:SCC抗原について教えてください。 A:SCC抗原というのは、皮膚にある扁平上皮から発生するがんから作られる腫瘍マーカーです。婦人科ですと、子宮頚がんの多くは扁平上皮がんですから(この他、腺がんもあります)、子宮頚がんの場合は検査を勧められることが多いです。 婦人科以外ですと、肺がん(扁平上皮がん、食道がん、皮膚がんで高くなります。 IRMA法で測定して1.5ng/ml以下が基準値です。 がんがなくても、喫煙者では高くなることがあります。また、皮膚疾患でも高くなります。 皮様嚢腫(類皮嚢胞腫とも言います、卵巣の良性腫瘍です)には皮膚組織がありますが、これがまれにがん化することがあります。このがん化の可能性を知るために、皮様嚢腫の手術前にSCC抗原を検査することがあります。 |
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| Q:CEAについて教えてください。 A:CEAというのは、carcinoembryonic antigen(がん胎児性抗原)の略です。消化器のがんと胎児期の消化管で同じ種類の抗原が見つかったところから、この名称がつけられたものです。 大腸がんや胃がんなど消化器のがんで高くなることがありますし、卵巣がんでも高くなることがあります。IRMA法で測定して2.5ng/ml以下が基準値です。 卵巣に悪性を思わせる腫瘍があり、CEAが高い場合は、消化管のがんが卵巣に転移した可能性も考えて、消化管の検査もすることになります。 喫煙者ではがんがなくても高くなることがあります。 |
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| Q:CA19-9について教えてください。 A:膵がん、胆道がんをはじめ、胃がんや大腸がんなどの消化器がんで高くなります。膵炎や胆管炎でも高くなります。もちろん、卵巣がんでも高くなります。 IRMA法で37U/ml以下が基準値です。 CA19-9は、しばしば100以下の高値をとる方がいます。継続して検査すると、60−70前後の値を、上下していますが、そのまま上昇するようなことはありません。婦人科でたまたまCA19-9を測定して高く、卵巣腫瘍や婦人科系の異常がない場合は、内科に受診していただき、膵臓や胆道系の腫瘍や炎症がないか、また肺の病気がないか調べてもらいます。それでも異常が見つからなければ、そのまま経過をみて、しばらくして再検査をします。 良性の卵巣嚢腫、皮様嚢腫(成熟奇形腫とか類皮嚢胞腫と呼ばれることもあります)で、CA19-9がしばしば高くなります。ですから、皮様嚢腫らしい卵巣嚢腫があってCA19-9が高ければ、その嚢腫は皮様嚢腫である可能性が高く、悪性の可能性は少なくなるから、むしろ安心ということもできます。 |
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| Q:CA125について教えてください。 A:卵巣がんでもっとも頻繁に検査され、また信頼度も高い腫瘍マーカーです。卵巣がんのなかでも特に頻度が高い漿液性腺癌で高くなります。子宮体がん、卵管がんなどでも高くなります。 IRMA法で35U/ml以下が基準値です。ただし、閉経後の場合は、15U/ml以下程度になることが多いので、年齢によって基準値は異なると考えた方がよいでしょう。 子宮内膜症や子宮腺筋症で高くなります。特に子宮腺筋症では、200-300U/mlを越えるような高い値になることも少なくありません。また、月経中や妊娠初期は高くなります。腹膜炎で高くなることもあります。 |
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| Q:AFPについて教えてください。 A:AFPはα−fetoproteinの略です。通常の状態では、AFPは胎児の肝細胞で作られていますので、妊婦さんのAFPは非常に高い値になります。しかし、肝硬変や肝がんになるとこれが作られるようになりますので、特に肝がんの腫瘍マーカーとして用いられます。 卵巣がんのうち卵子に由来する胚細胞腫瘍で高値になります。したがって、卵巣の胚細胞腫瘍が疑われる(10代のような若い人の卵巣腫瘍や閉経後で不正出血を伴うような卵巣腫瘍)場合は、AFPを測定します。 IRMA法で20ng/ml以下が基準値です。 |
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| Q:hCGについて教えてください。 A:hCGというのは、human chorionic gonadotropin(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)の略です。妊娠したときにできる絨毛(将来胎盤になります)から分泌されるホルモンです。妊娠検査薬と呼ばれるものがありますね。あれは、このhCGを測定している検査薬です。 hCGは妊娠していなければ、からだの中にありませんが、妊娠に伴って起こる絨毛性腫瘍や妊娠に関係しない卵巣の絨毛癌などで、高値になり、あるいは病勢と並行して増減するので腫瘍マーカーとして用いられます。 胃がんや肺がんなどでも高値になることがありますが、腫瘍マーカーとしての有用性は低いようです。 0.5mIU/ml以下が基準値です。 |
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| Q:CA72-4について教えてください。 A:卵巣がんの他、乳がん、胃がん、大腸がんでも高値になります。子宮内膜症でも高値になります。 IRMA法で4U/ml以下が基準値です。 |
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| Q:たくさんある腫瘍マーカーのうち、どれを検査するのですか? A:手術などの治療を開始する前に、これがマーカーになりそうだと思われるいくつかを選択して、検査します。例えば、子宮頚がんですとSCC抗原、子宮体がんですとCA125、卵巣がんですと最初に挙げたような腫瘍マーカーのなかからいくつかを選んで検査します。 こうして、手術などの治療開始前の腫瘍マーカーが高く、治療後その効果に応じて腫瘍マーカーが低下していれば、そのがんの腫瘍マーカーとして有用である可能性が高いことになります。 マーカーにならないものをたくさん検査しても意味がないので、最終的には1つもしくは2つの腫瘍マーカーを選んで検査するのが一般的な方法です。 |
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| Q:腫瘍マーカーだけで再発しているかどうか判りますか? A:判ることもありますが、判らないこともしばしばです。 これは 1)治療や病気の進行に伴い、腫瘍の性質が変化してしまい、今までの腫瘍マーカーがその腫瘍の特徴を反映するものでなくなるため 2)腫瘍マーカーが、腫瘍以外からも産生されることがあるため、あるいはまったく別の腫瘍から同じ腫瘍マーカーがつくられることがあるため によります。例えば、CA125は月経中は高くなりますし、腹膜炎でも高くなります。hCGは正常の妊娠でも高くなります。 また、実際には腫瘍マーカーだけで経過をみることはありません。診察もリンパ節の触診も大切ですし、胸のレントゲン写真や、MRI、CT、PET等の検査も一緒に行います。 |
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| Q:ある病院で検査を受けたらCA19-9が60でした。別の病院で再検査してもらうと80でした。二つの検査の間は、1か月しかありませんが、こんな短期間に悪化したのでしょうか。 A:同じ検査法であっても、さまざまな会社からさまざまな測定キットが出されています。別の病院で、別のキットを使っていたとすると、測定値には当然差が生じます。また、同じ検体を同じキットで測定しても、測定値には微妙な差が生じます。もちろん、毎日活動し生活している患者さんから採血して検査しますから、たった1日違い、数時間違いであっても同じ値をとるとは限りません。 したがって、お話だけから、悪化したと結論づけるには無理があります。 |
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