不妊治療のFAQ
FAQというのはFrequently Asked Questionsの略です。つまり、ここでは外来などでしばしば質問されることについてお答えします。書かれているのは私の意見なので、異なる意見があり得ることはご理解ください。
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基礎体温
Q:基礎体温の変化はどうして起こるのですか。
Q:基礎体温は、どうやって記録すればいいのですか。
Q:夜目覚めて、トイレに行ってしまいます。いつ計ればいいのですか。
Q:毎朝、起きる時間が違います。どうすればいいですか。
Q:排卵の時期はどうすれば予測できますか。
Q:基礎体温以外に排卵日を予測する方法はありますか。
Q:妊娠したい場合は、いつ頃性交渉を持てばいいのですか。
超音波検査
Q:腟からよりはお腹からの超音波検査が楽なのですが。
性交後試験(ヒューナー検査
Q:ヒューナー検査はどのように行うのですか。
Q:ヒューナー検査を受けるには具体的にどんな準備が必要ですか。
子宮卵管造影検査
Q:子宮卵管造影というのはどんな検査ですか。
Q:どんな副作用がありますか。
Q:いつ検査をするのですか。
精液検査
腹腔鏡検査
排卵誘発剤
Q:なぜ排卵誘発をするのですか。
Q:排卵誘発剤にはどんな種類がありますか。
Q:多胎になってしまうのではないですか。
Q:多胎以外の副作用はありませんか。
人工授精
Q:人工授精はどんなことをするのですか。
Q:どのような場合に人工授精がされるのですか。
Q:具体的にAIHはどのように行うのですか。
Q:精液をとるときに注意した方がよいことがありますか。
Q:AIHのあとどんなことに注意すればいいのですか。
Q:AIHでどのくらい妊娠するのですか。
体外受精
Q:体外受精のだいたいの手順を教えて下さい。
Q:副作用はないのですか。
Q:体外受精で”妊娠率”とよく言われますが、どんな方法で算出するのですか。
Q:夫が体外受精に少し緊張気味です。うまく精液が採れるかどうか心配です。
Q:どのぐらいの大きさの卵胞であれば、採卵できるのですか。
Q:スプレキュアや排卵誘発剤を使ったのですが、卵胞は2個しかないと言われました。体外受精はできますか。
Q:FSHが高いから、少ししか採卵できないかも知れないと言われました。どういうことですか。
Q:10個卵が採れ、7個受精したそうです。いくつ戻すのですか。
Q:多胎が心配です。どうすればいいですか。
Q:体外受精で子宮外妊娠になることがあると聞きました。どうして子宮外妊娠になるのですか。
Q:採卵は痛いですか。麻酔はするのですか。
Q:胚移植を行った後は、安静にしておいた方がいいですか。
Q:胚移植後、体外受精がうまく行ったかどうか、とても心配です。どうやって過ごせばいいですか。
Q:体外受精がうまく行ったかどうかは、いつ頃判りますか。
Q:次の体外受精までどのくらい間隔をあければいいですか。
Q:7年間の不妊で、40歳です。体外受精を受けようと思いますが、3回までにするように言われました。どうしてですか。
顕微授精
カウンセリング

基礎体温

Q:基礎体温の変化はどうして起こるのですか。

A:排卵をすると黄体ホルモン(プロゲステロン)が作られて分泌されます。黄体ホルモンには体温を上昇させる作用があります。このために排卵後に体温が上昇します。



Q:基礎体温は、どうやって記録すればいいのですか。

A:薬局などで水銀の「婦人体温計」を購入してください。測定した結果を記入する「基礎体温表」も必要です。薬局で購入できます。また、病院で分けてもらうことができることもあります。あとは、濃いめの鉛筆があれば準備完了です。前の日に、枕元に準備しておきましょう。毎朝、目がさめたら、布団から起き出す前に、体温計を口の中に入れ舌の下で5分間測ります。体温計を口の中で動かさないように注意します。これを毎朝記録すればいいのです。





Q:夜目覚めて、トイレに行ってしまいます。いつ計ればいいのですか。

A:再び寝て、目覚めたときで結構です。



Q:毎朝、起きる時間が違います。どうすればいいですか。


A:そのまま目覚めたときに測定し、測定した時間を記入してください。基礎体温は、体温の変化の流れをみるものですから、それでも十分に役立ちます。どうしても寝付けなかったような場合は、測定されなくても結構です。



Q:排卵の時期はどうすれば予測できますか。

A:基礎体温が低温期から高温期に移行するあたり、もしくは低温期の最終日が排卵日と考えればいいでしょう。しかし正確に言えば、基礎体温をみていただけでは、これからの排卵日は予測できません。過去の基礎体温表をみて、いつ頃排卵することが多いかがわかるだけです。でも、それだけでも大切な情報なのです。



Q:基礎体温以外に排卵日を予測する方法はありますか。

A:ご自分でできる方法としては、おりものの変化があります。排卵の前には、粘稠性の高いおりものが増加することがおおいので、参考になります。また、排卵頃に下腹部痛がある方がいます。排卵痛とも呼ばれますが、多くは卵胞(卵子が入った袋で、排卵の前には直径20mmぐらいにまで成長します)が大きくなって、緊満するための痛みです。そのほか、排卵を命令するホルモンであるLH(黄体化ホルモン)と呼ばれるホルモンが排卵の前に急増します。これが尿の中に出てくるのを測定する検査薬が、薬局などで売られています。この方法を使えば排卵日を予知することができます。


Q:妊娠したい場合は、いつ頃性交渉を持てばいいのですか。

A:妊娠するための性交渉で最適なのは遅くとも排卵日で、それ以前
4-5日前までは妊娠可能とされています排卵をすぎると妊娠しなくなることにご注意ください。

超音波検査

Q:腟からよりはお腹からの超音波検査が楽なのですが。

A:腟からの(経腟)超音波検査は内診台の上でします。超音波の器械の先端(プローブといいます)が膣の奥にはいると普通の状態の卵巣や子宮はこのプローブのすぐ近くに来ます。超音波は遠くのものほど見えにくいので、一般的に卵巣や子宮の状態を見るときは経腟超音波検査の方がよく見えます。これに対して大きい筋腫がある場合や大きい卵巣嚢腫がある場合は、むしろお腹からの(経腹)超音波の方がよく見えます。つまり検査する目的や病気の状態によって使い分ける必要があります。

ですからちょっと我慢して頂く必要があることもあります。


経腟超音波検査

経腹超音波検査

経腟超音波で見た卵巣。黒く穴があいたように見えるのは卵胞です。卵胞には、卵子が入っています。
性交後試験(ヒューナー検査


Q:ヒューナー検査はどのように行うのですか。

A:普通に性交渉を行っていただいた後の、頚管粘液を採取し、そこに精子がいるかいないか、また、いた場合に元気に運動しているかどうかを調べます。同時に、腟内の精子についても調べます。また、頚管粘液の状態も調べます。頚管粘液が増加し精子を通し易い状態になっているかどうかです。頚管粘液が不十分な場合は、@検査した時期が不適当である可能性と、A頚管粘液の産生に何らかの問題がある可能性の二つが考えられます。


Q:ヒューナー検査を受けるには具体的にどんな準備が必要ですか?

A:超音波検査などで排卵日を予測するために予め受診していただきます。また、もちろん基礎体温をきちんと記録し、それを記録した基礎体温表を持参してください。

検査の日はあらかじめ、排卵直前になるように医師から指定されます。検査の前夜、正常位で性交渉を持っていただきます。この検査のための性交渉の前、少なくとも2日間は性交渉を持たないでください。検査のための性交渉の後、シャワーをされても構いませんが、湯船には入らないでください。検査そのものは、普段の内診と同じようにして行います。検査結果はその場で説明されます。


子宮卵管造影検査


Q:子宮卵管造影というのはどんな検査ですか。

卵管の通過性、子宮内腔の形態などを知るためのとても大切な検査です。

腟の方から子宮の入り口を通して子宮の内腔に細い管(あるいは器具)を入れ、そこから造影剤を流します。この造影剤の流れを見て、子宮内腔の形態や卵管の通過性を判定します。

造影剤には水性と油性の造影剤があります。水性の造影剤を用いた場合、検査は1日で終わります。油性の造影剤を用いた場合は、検査の日以外に翌日(もしくは翌々日など)に来ていただき腹部のX線写真を1枚撮影します。油性の造影剤は体に長く残ることがあります。

子宮卵管造影検査の後、妊娠できる可能性は今までより高くなります。この効果は水性造影剤では低く、油性造影剤では高いことが判っています。子宮卵管造影の周期であっても、検査の翌日以降は妊娠にチャレンジされて構いません。造影剤の問題になるような影響はないと考えられています。

このように水性、油性の造影剤は一長一短なので、いずれの造影剤を使うかは、担当医がみなさんと相談をして決めます。

このほか、卵管間質部などの閉塞に対して、選択的卵管造影を行うことがあります。これは細いカテーテルを卵管の入り口まで持っていって造影する方法です。


Q:どんな副作用がありますか。


多くの方はあまり痛みを感じませんが、かなり強い痛みがある方もおられます。また、感染を誘発することがあります。

検査当日の夜発熱することがありますがこれは一時的なもので、頂いた解熱剤などを使ってください。検査翌日以降に発熱した場合は、感染が起こった可能性があり病院に受診して頂く必要があります。

なお、造影剤を使うためにヨード剤にアレルギーのある方は検査を受けられません。薬剤のアレルギーのある方は必ず、医師にお話をください


Q:いつ検査をするのですか。

A:検査は月経後、排卵前に行います。検査当日は必ず基礎体温表を持ってきてください。検査が排卵後になる場合は、予めの避妊が必要です。排卵後で妊娠している可能性がある場合は、検査を延期していただくことがあります。



精液検査
腹腔鏡検査
排卵誘発剤


Q:なぜ排卵誘発をするのですか。

A:排卵していない場合は排卵誘発剤を使います。

また、排卵はしているが黄体機能不全があるとか、人工授精のタイミングを整えたり成功率を向上させる目的でも排卵誘発を行います。

原因不明不妊で排卵誘発を行うと、妊娠率が1.5-2.5倍になることが判っています。このため、原因不明不妊で排卵誘発を行うこともあります。

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Q:排卵誘発剤にはどんな種類がありますか。

ゴナドトロピンと呼ばれる製剤(HMG、FSHやHCG)と、クロミッドがあります。そのほかこの両者を組み合わせたり、それ以外の薬剤と組み合わせる場合もあります。多嚢胞性卵巣症候群では、メトフォルミンという糖尿病治療薬の併用が勧められることがあります。

排卵誘発の原理は、卵巣を直接刺激するか、あるいは頭の中の間脳−下垂体と呼ばれるところに作用して卵巣を刺激するホルモンを分泌させるかのいずれかかです。ゴナドトロピン製剤は卵巣に直接作用します。また、クロミッドは間脳−下垂体に作用します。クロミッドは体内の自然の作用を利用するために効き方はマイルドですが、排卵誘発効果の点ではゴナドトロピンに劣ります。

排卵誘発は、卵胞の発育を促進する過程と、最終的に排卵を命令する過程があります。HMGは前者に作用し、HCGは後者に作用します。クロミッドは両方に作用しますが、後者の作用が弱い場合はHCGと組み合わせて使います。



Q:多胎になってしまうのではないですか。

A:ふた子や三つ子、四つ子、五つ子のような場合を多胎と呼びます。排卵誘発を行うことによって多胎になる可能性があります。また、現在の医学では排卵誘発によって多胎が起こることを完全に防止することは不可能です。

HMGを使った場合は20%程度、クロミッドの場合は2-5%程度の妊娠が多胎になります。ちなみに、排卵誘発剤を使わない場合の多胎の頻度は1%強です。

多胎の90%以上はふた子です。三つ子以上の頻度はそれほど高くはありません。しかし、多胎の場合は単胎に比較して、早産や低出生体重児になりやすく、母児ともに合併症が多いので、できるだけ避けるべきです。

排卵誘発中に超音波検査で卵胞の発育をモニターしていれば、排卵する卵子の数をある程度予測できます。したがってたくさん排卵しそうな場合は、多胎を防止するためにその周期の妊娠をあきらめるか、体外受精に切り替える方法があります。


多胎以外の副作用はありませんか?

卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:略してしばしばOHSSと呼ばれます)が起こることがあります。

クロミッドでも稀に起こることがありますが、概ね軽く自然に治ります。卵巣過剰刺激が特に問題になるのはHMGを使った場合です。HMGを使った場合は軽いものまで含めれば10%ぐらいに起こります。

だいたい排卵の前後から症状が出てきます。最初は、軽いちくちくするような下腹痛にはじまり、腹満感(普段着ているスカートが着れなくなった、など)が出てきます。進むと呼吸困難が出現することもありますが、多くの場合は腹満感程度で終わります。

超音波断層法で見ていますと、まず卵巣が大きくなり続いて腹水が、さらに進むと胸水も貯留するようになります。胸水の貯留まで行くのは稀です。

卵巣過剰刺激症候群の最も大きな問題は、病気が進行すると稀に血管内血液凝固症候群という状態を引き起こすことです。このため、時に入院して治療を受けていただく必要が出てくる場合があります。

HMGの投与を受けている場合は概ね通院していただいていますので、もし下腹痛や腹満感、呼吸困難などが出てきた場合は必ず教えてください。また、次回の来院までに日があって、高度の腹満感や呼吸困難などの症状が出てきた場合は、すぐに来院するか電話で指示を受けてください。

多胎や卵巣過剰刺激を防止するために、排卵誘発剤の使用を中止することがあります。



人工授精


Q:人工授精はどんなことをするのですか。

A:精子を子宮内に注入する操作を人工授精と呼んでいます。夫婦間で行うAIHと、精子の提供を受けて行うAIDがあります。AIDが必要な場合はそれを行っている他の施設を紹介いたします。



Q:どのような場合に人工授精がされるのですか。


@精子の数が少ない、運動率が悪いなど精子の状態が悪い方、Aヒューナー(性交後)試験が不良で精子が頚管内を通過できない可能性がある方、B原因不明の不妊症でAIHで妊娠率の上昇が期待できる可能性のある方などが、対象です。

卵子精子が受精するのは、卵管膨大部と呼ばれる卵管の先端部分です。この卵管膨大部にできるだけ近い部分に精子を入れて、高濃度の精子が受精の場に到達できるようにすることや、途中の精子の通過障害をなくそうというのがAIHの目的です。



Q:具体的にAIHはどのように行うのですか。

A:AIHでは、排卵のタイミングに合わせて(排卵当日から数日前)精子を注入することが大切です。このために基礎体温を参考にし、卵胞の大きさを超音波検査で計測したり、尿中のLHの測定をしたりして排卵が近いかどうかを確認します。排卵を確実にしたり、排卵日を一定化させる目的で排卵誘発剤を併用する場合があります。

排卵が近いと判断したら、HCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)を筋肉注射することがあります。HCGには排卵をおこす作用があり、注射後およそ36時間で排卵が起こります。排卵とAIHのタイミングをあわせるのが目的です。ただし、精子は妻のお腹の中で数日間生きていますが、卵子の受精能力は排卵後数時間しか持続しないので、実際には排卵よりも早めにAIHをおこないます。

AIHの日が決定したら精液採取の容器が渡されます。指定された時間頃に精液を用手的に採取して頂きます。そのままの精液だと細菌が子宮内にはいって発熱や腹痛(感染)がおこることがあります。このため、精液は洗浄したり濃縮したりして、不要なものを取り除いたうえでAIHをおこないます。


感染予防のために、抗生物質が処方されます。この抗生物質は妊娠された場合、赤ちゃんには影響しません。


Q:精液をとるときに注意した方がよいことがありますか。

A:精子の採取はAIH当日の朝、用手的に取って頂きますが、できるだけ病院に持ってくる直前に取ってください。精液は温めたり冷やしたりせずにお持ちください。

また、超音波検査などによる排卵時期の推定は必ずしも完璧なものではありません。排卵を見逃してしまうことが無いわけではないので、AIHが近いからといって、性交渉を無理に控える必要はありません。




Q:AIHのあとどんなことに注意すればいいのですか。

A:AIH後、30分間ぐらい安静にしていただき、気分の不快や腹痛などがないことを確認してからお帰りいただきます。その後は、通常の生活に戻っていただいて差し支えありません。入浴も結構です。ただし、発熱や下腹痛があるときには、連絡をするか外来にきてください。


Q:AIHでどのくらい妊娠するのですか?


A:AIHによる妊娠率はおよそ5%で、必ずしも期待ほど高くはないのが現状です。また、AIHで妊娠する方はおよそ7ー10回以内に妊娠します。したがってAIHを7ー10回おこなっても妊娠しない場合には、次の治療法への変更を検討する必要があります。

体外受精


Q:体外受精のだいたいの手順を教えて下さい。

A:体外受精は、大きく分けて次のようなステップからなります。@卵巣刺激(薬を使ってたくさんの卵胞を大きくします)、A採卵(よくOPU:オー・ピー・ユーと呼ばれます、超音波断層法で見ながら腟から採卵をします)、B精液を採取して処理をする、C媒精(卵と精子を一緒にします、このステップがIVF:アイ・ブイ・エフと呼ばれます)、D(受精)卵の培養、E胚移植(ET:イー・ティーと呼ばれます)、F黄体期管理。後は、妊娠の成立を待つだけです。



Q:副作用はないのですか。

A:いえ、副作用が起こることがあります。だから慎重に行うべき治療法です。

まず、排卵誘発剤による卵巣の過剰反応(卵巣過剰刺激症候群)があります。重症の卵巣過剰刺激症候群では血栓症や脳梗塞、肺水腫などの重大な続発症を招くことがあります。我々も十分に注意して排卵誘発剤を使用しますが、PCO(多嚢胞性卵巣症候群)の方は排卵誘発により卵巣過剰刺激症候群になりやすい、などその方の卵巣の性質に大きく影響されます。重症な卵巣過剰刺激症候群が予想されるときには、体外受精を中止したり、入院管理することがあります。強い腹満感・腹痛・息苦しいなどの症状があるときには、いつでも結構ですのですぐに連絡をいただくか、来院して下さい。

次に多胎妊娠があります。4個以上移植した場合に多胎妊娠となる可能性はおよそ30%です。現在では四つ子や五つ子などを防ぐために胚移植は3個までにすることが一般的ですが、胚移植数を3個にしても双子、三つ子の可能性は残ります。

その他に、採卵時に膀胱や腸、血管を損傷することがまれにあります。


Q:体外受精で”妊娠率”とよく言われますが、どんな方法で算出するのですか。

A:この場合の妊娠とは、超音波断層法で胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が確認されることを指します。”妊娠率”を計算する場合はこのような妊娠の数が分子になります。分母は、胚移植の件数です。

例えば、100人に胚移植を行って、23人の方が超音波断層法で胎嚢が確認されるような妊娠に至った場合、妊娠率は23%ということになります。


8細胞期受精卵


Q:夫が体外受精に少し緊張気味です。うまく精液が採れるかどうか心配です。

A:精液は病院以外の場所で採って持ってきてもらっても構いません。暖めたり冷やしたりしないで、1時間以内に届けて下さればそれでも構いません。緊張される場合には、その方がよいかも知れません。外来担当医にご相談下さい。


Q:どのぐらいの大きさの卵胞であれば、採卵できるのですか。

A:一般的に言えば直径1cmを越えれば採卵を試みることができます。


Q:スプレキュアや排卵誘発剤を使ったのですが、卵胞は2個しかないと言われました。体外受精はできますか。

A:一般に1cm以上の卵胞から採卵できる率はおよそ70%です。また、採卵した卵が受精する率も70%ぐらいです。したがって、卵胞が1個しかない場合は、およそ50%の方が受精卵を得ることができます。逆に言えば、全く受精卵が得られない確率はおよそ50%です。


2個しかない場合は、2個ともに受精卵が得られない確率は25%です。

この条件で、体外受精を受けるかどうかは、それぞれの方に判断していただく以外にありません。

一般的に言えば、初めて卵巣刺激を開始した場合は、キャンセルして次をねらってもいいと思います。何度目かの場合は、今までの採卵個数を参考にして決めて下さい。



Q:FSHが高いから、少ししか採卵できないかも知れないと言われました。どういうことですか。

A:FSHは、下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンです。卵巣の卵胞を刺激してこれを大きくします。FSHが高いということは、下垂体(正確に言えば、下垂体に指示を出している間脳)が、卵巣が十分に機能していないと判断をして、FSHを大量に分泌していることを意味しています。つまり、卵巣の機能が十分ではない可能性が考えられます。

こうした卵巣機能の低下は、40歳以上の女性にしばしば見られます。しかし、20歳代の若い人に見られることもあります。FSHの値が高ければ高いほど、採れる卵の個数が少なくなることが判っています。一般にFSHが20mIU/ml以上であると、体外受精による妊娠率はかなり低下します。


Q:10個卵が採れ、7個受精したそうです。いくつ戻すのですか。

A:受精卵には、子宮に戻すか、凍結するか、捨てるかのいずれの方法しか取り得ません。胚移植の際には、いくつ戻すのが適当か医学的な判断をお話しします。それに基づいて、いくつ戻すのか、残った受精卵をどうするのかはあなた自身に決めていただきます。受精卵を操作中に決めるので、これを考える時間は、余りありません。予め、どうするかをある程度考えておいて下さい。

一般に、良好な受精卵であれば移植は3個程度までに止めた方がいいでしょう。余り元気のよくない受精卵が含まれる場合は、やや数を増やしてもいいかも知れません。しかし、4個以上の場合にはその旨、申込書を必要とします。また、元気がよい受精卵、よくない受精卵というのはおよその目安に過ぎません。



Q:多胎が心配です。どうすればいいですか。

A:多胎になるのがどうしてもいやであれば、移植する受精卵の数を1個にしなければなりません。しかし、1個にすると妊娠率はかなり悪く(10〜20%)なります。


Q:体外受精で子宮外妊娠になることがあると聞きました。どうして子宮外妊娠になるのですか。

A:受精卵を子宮に戻す場合は、超音波断層法で見ながら戻します。子宮の位置や癒着のために中には超音波断層法で子宮内膜がよく観察できない方がおられます。また、超音波断層法では実際に受精卵自体が見える訳ではありません。このようなさまざまの理由から、卵管の中に受精卵が入ってしまうことがあります。卵管の機能が正常であれば、こうして卵管内に入った受精卵は自然に子宮の中に戻ってきますが、卵管の機能が低下している場合は、卵管にとどまったままになって子宮外妊娠の原因になります。


Q:採卵は痛いですか。麻酔はするのですか。

A:採卵は経腟超音波で見ながら、腟の方から針を刺します。麻酔をかけないで採卵する施設もありますが、やや痛いため、当院では静脈麻酔で採卵します。



Q:胚移植を行った後は、安静にしておいた方がいいですか。

A:胚移植の後、自宅に帰られてからは、非常に過激な運動や労働を例外として、普通に生活をしていただいて構いません。


Q:胚移植後、体外受精がうまく行ったかどうか、とても心配です。どうやって過ごせばいいですか。

A:体外受精は精神的にも経済的にも負担が大きい治療法です。その意味で、体外受精を受けてから結果が出るまでは、なかなか気持ちが落ちつきません。「ベストを尽くしたのだから、後は天命を待つ」程度の気持ちで、過ごしていただければと思います。


Q:体外受精がうまく行ったかどうかは、いつ頃判りますか。

A:採卵をした日から22−23日を過ぎても月経が来ない場合は、妊娠の可能性がかなり高いと言えます。


Q:次の体外受精までどのくらい間隔をあければいいですか。

A:体外受精の時には、排卵誘発剤を使ってたくさんの卵胞を大きくします。体外受精後もしばらくはその中のいくつかの卵胞が卵巣に残っていることがあります。また、体外受精は肉体的にも精神的にも負担の大きい治療法です。このため、次の体外受精まで3ヶ月くらいの期間をあけることをお勧めしています。



Q:7年間の不妊で、40歳です。体外受精を受けようと思いますが、3回までにするように言われました。どうしてですか。

A:40歳を超えている方が体外受精を受けた場合、1回目がうまく妊娠しない場合の2回目の妊娠率、また3回目の妊娠率は回数を追う毎に急速に低下します。こうして4-5回目以降は妊娠する方がほとんどいなくなるというデータがあります。

ですから、一般に40歳を過ぎている場合は、体外受精を3-4回までに限るように勧められます。
顕微授精
カウンセリング