感染症のFAQ
FAQというのはFrequently Asked Questionsの略です。つまり、ここでは外来などでしばしば質問されることについてお答えします。書かれているのは私の意見なので、異なる意見があり得ることはご理解ください。
で回答へジャンプします。

カンジダ感染
Q:カンジダ腟炎と診断されました。いつ、カンジダに感染したのですか。
Q:カンジダ腟炎にはどんな症状があるのですか。
Q:カンジダはどのように診断するのですか。
Q:カンジダ腟炎には、どんな治療をするのですか。
Q:特別な症状はありません。癌検診でたまたまカンジダがいるといわれました。治療する必要がありますか。
Q:妊娠中の治療はどうするのですか。
Q:授乳中の治療はどうするのですか。
Q:カンジダといわれ治療しても、すぐに再発します。なかなか治らないのですが、どうすればいいですか。
ノロウィルス
Q:妊娠10週ですが、ノロウィルスに感染しました。赤ちゃんは大丈夫ですか?

カンジダ腟炎
Q:カンジダ腟炎と診断されました。いつ、カンジダに感染したのですか。

A:カンジダというのは真菌に属するカビの一種です。カンジダ属に属するカビは150種類ほど知られていますが、そのうちひとで感染を起こすのは10数種類とされています。外因や膣に感染を起こすカンジダの80-90%は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)と呼ばれるカビです。これに継いで多いのは、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)です。

カンジダ腟炎と診断されたようですが、カンジダでおこる炎症は、外陰部にも炎症が広がることが多いのでカンジダ外陰腟炎とも呼ばれることもあります。

外陰部や膣の炎症のおよそ1/3はこのカンジダによると考えられています。

カンジダと言われると、「えっつ、カビ?そんなに不潔にしていないのに」と思われる方も多いでしょう。あるいは「夫がどこかで遊んできたのでは?」と心配される方もおられるかと思います。

しかし、人間の体にはもともと細菌やカビがたくさんいるものなのです。いわば無菌状態であったのは、胎児期だけ。生まれたが最後、細菌やカビがたくさんからだの中に入ってきます。そうした細菌やカビと仲良くバランスを取って暮らしているのが、人間なのです(すべての動物や植物についても言えます)。感染症というのは、そうしたバランスが崩れた状態と考えることができます。

カンジダ属に属するカビは、健康な無症状の女性の外陰膣の20-50%に検出されます。これらの場合、カンジダは他の細菌とバランスを保って、静かにからだの中にすんでいると考えてください。ですから、この状態は異常ではありません。

このように普段はあまり悪影響を及ぼさないカンジダが、何らかの理由で、均衡を破り、元気になって、いろんな症状を起こすようになった状態が、カンジダ腟炎といわれる状態です。

実際、検査をすると腟内にカンジダが見つかったひとの半数近くは無症状とも言われています。

カンジダが、均衡を破るのは、次のような状態の場合です。

1)抗生物質を使った場合:抗生物質によって正常にいてカンジダと均衡を保っている細菌が減少し、このためカンジダが増殖することによって起こります。

2)エストロゲンが増加した場合:やはり膣の細菌のバランスが崩れて、カンジダが増殖することがあります。妊娠中もこの理由によってカンジダ腟炎になりやすくなります。ピルやホルモン補充療法を行っている場合もなりやすくなります。

3)糖尿病の患者さんで、血糖のコントロールがうまくいっていない場合。肥満の方。

4)何らかの理由で免疫能が低下している場合。

今回、カンジダ腟炎と診断されたようですが、ほとんどの場合、今回感染したわけではなく、前からいたカンジダが何らかの理由で元気になった、そして症状が出てきたと考えて間違いないでしょう。

性行為でもうつりますが、その可能性よりは、前からいた可能性の方がはるかに高いと言えます。

Q:カンジダ腟炎にはどんな症状があるのですか。

外陰部のかゆみや発赤、おりものの増加がおこります。外陰部は赤くただれて、時にはかさかさした感じになることもあります。酒粕のような(コッテージ・チーズ状と表現されることもあります)白く、あるいは黄白色のぼろぼろした感じのおりものが増加することがあります。しかし、あまりおりものの量が増えないこともあります。

一般ににおいがすることはありません。月経の前に、症状が悪化し、月経終了と共に軽減することもあります。




Q:カンジダはどのように診断するのですか。

症状や外陰部、膣の所見がをもとに、膣の分泌物を少し採取して、少量の生理食塩水を加え顕微鏡で直接観察してカビを確認します。

この他、カンジダを培養して確認する方法もあります。カンジダの種類が知りたい場合に培養法を用います。

Q:カンジダ腟炎には、どんな治療をするのですか。

症状がある場合のみ、腟剤を使ったり、クリーム剤を外陰部に塗布します。あるいは経口薬を用いて治療します。

同時に、抗生物質を使っている場合は可能であれば中止し、ピルもやめる必要があります。糖尿病や肥満がある場合は、その対策が必要です。

パートナーの治療は一般的には必要ないと考えられています。パートナーを治療してもしなくても再発率は変わらないというデータがあるからですが、検討された例数は十分ではありません。繰り返しカンジダ腟炎を起こす場合は、パートナーも治療してみるのも選択肢の一つです。

Q:特別な症状はありません。癌検診でたまたまカンジダがいるといわれました。治療する必要がありますか。

無症状であるにもかかわらず、癌検診などでカンジダが見つかったと連絡を受けることがあります。

このような場合、症状がなければ治療の必要はありません。かゆみなどの症状があるときだけ治療してください。

Q:妊娠中の治療はどうするのですか。

妊娠中はカンジダ外陰膣炎になりやすくなります。かゆみなどの症状がある場合は、腟剤、外用薬とも使っていただいて構いません。経口薬は、妊娠中も禁忌のものがあり、他に方法がないという特別な場合を除き、避けるべきです。

妊婦がカンジダに感染していると、新生児に産道を介して感染し(産道感染といいます)、鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれる新生児口腔粘膜の感染を起こすことがあります。ほとんどの場合数週間で自然治癒します。

新生児が鵞口瘡になるのを予防するために、症状がないカンジダ感染を治療する必要はありません。


Q:授乳中の治療はどうするのですか。

やはり、症状があるときに治療するのが原則です。症状がなければ治療は不要です。腟剤、外用薬とも使っていただいて構いません。そのまま授乳を継続されて構いません。

経口薬には、乳汁中に移行するものがありますので、授乳中は一般に避けるべきと考えられています。

Q:カンジダといわれ治療しても、すぐに再発します。なかなか治らないのですが、どうすればいいですか。

年間に4回以上、カンジダ外陰腟炎を反復する場合、反復カンジダ外陰腟炎と呼ばれます。別のカンジダに再感染したのか、あるいは治療にもかかわらずからだの中に生き残ったカンジダが息を吹き返したのか、両方の可能性がありますが、一般には後者の方が多いと考えられています。

カンジダの種類によって薬の効き方が違うので、培養によってカンジダの種類を突き止めます。また、それにあわせて薬の種類をかえる、あるいはさらに長期間薬を継続する等の方法がとられます。

また、糖尿病などの背景疾患がある場合は、それをきちんと治療することも大切です。むれやすい下着は避けるなどの注意も必要です。
ロウィルス
Q:妊娠10週ですが、ノロウィルスに感染しました。赤ちゃんは大丈夫ですか?

A:結論を先に書けば、妊娠中にノロウィルスに感染して赤ちゃんに影響が出たという報告はありません。ですから、赤ちゃんのことを心配しなくてもいいのですが、妊娠中は嘔気や嘔吐が起こりやすいもの、そこにノロウィルス感染の症状である嘔吐や下痢が重なると、脱水にないやすいので医師の指示を受けて点滴などの処置を受けた方がよい場合があります。

最近、ノロウィルスのことが新聞やテレビでよく取り上げられますね。ノロウィルスnorovirusというのは、流行性の急性胃腸炎を起こすウィルスで、小型で球形のウィルスであるところから小型球形ウィルス(small round-structured virus: SRSV)とか、最初に見つかった場所の名前にちなんでNorwalk-like virusとか呼ばれます。

流行性の急性胃腸炎を起こす代表的なウィルスです。食べ物(代表は牡蠣)やひとからひとへ(例えば、感染したひとが調理したものを食べると集団で発生することもある)と感染します。きちんと加熱してしまえばウィルスは死にますが、加熱が不十分だと感染しやすくなります。潜伏期は24-36時間程度と考えられています。嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が主な症状で、重症化することは少なく、1-3日で自然に軽快するようです。下痢をしているとき、あるいはそれがよくなっても数日間は便の中にウィルスが排出されており、それを介して他のひとに感染することもあります。

特別な治療薬はなく、ワクチンもありません。

感染しないようにするためには、生の牡蠣や貝類を食べない、十分に加熱する、よく手を洗うなどが大切なポイントです。

感染しないようにきちんと注意する必要はありますが、必要以上に心配することもないでしょう。
Q:カンジダといわれ治療しても、すぐに再発します。なかなか治らないのですが、どうすればいいですか。

A: