| 良性疾患のFAQ | ||||
| FAQというのはFrequently Asked Questionsの略です。つまり、ここでは外来などでしばしば質問されることについてお答えします。書かれているのは私の意見なので、異なる意見があり得ることはご理解ください。 | ||||
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| 子宮筋腫 | ||||
| Q:38歳です。たくさん筋腫があるので、子宮全摘しかないといわれました。子宮をとりたくないのですが。 | ||||
| Q:子宮筋腫があります。もう45歳なので子宮を全摘したらといわれました。 | ||||
| Q:子宮全摘をする時、一緒に卵巣や盲腸も取ってしまいたいのですが。 | ||||
| Q:34歳未婚です。検診で子宮筋腫といわれました。8cmの筋層内筋腫があり、それ以外に3-4cmの筋腫が数個あります。貧血もなく自覚症状もありません。大きくなる前に手術した方がいいと言われました。早く手術した方がいいですか。 | ||||
| Q:6cmと5cmの筋層内筋腫があります。子宮鏡で手術するのは無理ですか。 | ||||
| Q:臍の上、3cmまで、5-10cmの筋腫が十数個あると言われました。腹腔鏡下手術は可能ですか。 | ||||
| Q:34歳の主婦で、すぐに妊娠を希望していますが、7cmと4cmの筋層内筋腫が見つかりました。子宮筋腫を核出してから妊娠した方がいいでしょうか。 | ||||
| Q:不妊で、検査を受けましたが、6cmの漿膜下筋腫が見つかった以外異常はありません。手術したほうがいいですか。 | ||||
| Q:子宮筋腫核出術の前に、ナサニールを使って筋腫を小さくした方がいいと言われたのですが。 | ||||
| Q:38歳です。手術の予定はありません。筋腫が大きくなってきたのでスプレキュアで小さくしましょうと言われたのですが。 | ||||
| Q:48歳です。筋腫が大きくなってきたので、スプレキュアを使って閉経まで「逃げ込み療法」をしましょう、と言われました。 | ||||
| 卵巣腫瘍 | ||||
| Q:卵巣腫瘍といわれました。がんでしょうか。 | ||||
| Q:卵巣嚢腫だけを核出するので、卵巣の機能は残ると言われたのですが。 | ||||
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| 子宮筋腫 | ||||
Q:38歳です。たくさん筋腫があるので、子宮全摘しかないといわれました。子宮をとりたくないのですが。 A:例外的な場合を除いて、子宮全摘以外の選択肢があります。 非常に稀に、1cm以下程度の子宮筋腫核が無数にできている方がおられます。子宮を細かく切り刻むわけにはいかないので、このような方の場合は実際問題として子宮筋腫核出術は不可能です。このような方で子宮を残すことを希望される場合は、むしろ子宮動脈塞栓術(UAE)をお勧めします。 しかし、このように文字通り無数の筋腫核があることは極めてまれです。経験的なお話で申し訳ないのですが、私がいままでに手術などに関係した3,000-4,000例の中に10数例このような方がおられました。 50-60個までの筋腫核であれば核出することができます。お話だけではどのような状況かわかりませんが、一般的には筋腫だけを核出する(子宮を残す)ことは可能だと考えます。 |
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| Q:子宮筋腫があります。もう45歳なので子宮を全摘したらといわれました。 A:子宮を全摘するかどうかはあなたが決めることです。 子宮をとってしまった場合の、欠点をまず書きましょう。月経がなくなり、もちろん妊娠はできなくなります。あなたは45歳なのでもう妊娠の希望はないかも知れません。また、希望したとしても非常に難しいのも現実です。しかし、子宮がなくなったという喪失感は予想外に大きいかも知れません。一方、子宮をとった場合の利点は、1)再発や再手術の可能性がなくなる、2)外出などした際、月経の心配が全くなくなる、3)将来、子宮頚癌や子宮体癌にならない、したがって検診も不要、4)将来、ホルモン補充療法を行う場合、プロゲステロンの並行投与が不要になる(エストロゲンだけを投与しても、子宮がないから子宮体癌にならない)などです。 子宮は、ホルモンを分泌する器官ではありません。したがって、子宮をとることによって卵巣機能が急に衰え、あるいはなくなってしまい、更年期がすぐに来てしまうということはありません。しかし更年期障害そのものには、精神状態が大きく関与します。したがって、子宮がなくなったということが、更年期症状の出現に関係する可能性はあります。また、子宮筋腫で手術を受けられる方の多くが、40歳代、つまり更年期症状が起こりやすい時期なので、手術を受けたら更年期症状が出てしまったと誤解される可能性もあります。 子宮を残したいという気持ちは、いくつになっても同じでしょう。上記のような、子宮全摘の欠点や長所をよく理解した上で、子宮をとるかどうか決めて頂ければよいのではないでしょうか。あなた自身が子宮を残したいのなら、その旨、担当医とよく相談されたらいかがでしょうか。担当医はあなたの判断を尊重すると思います。 |
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| Q:子宮筋腫で子宮全摘をする時、一緒に卵巣や盲腸も取ってしまいたいのですが。 A:一般的に、「ついでに手術」することは勧められません。 盲腸は医学的には虫垂といいます。昔は、こうした、「ついでに手術」を希望される方が多かったのですが、今は少なくなりました。手術は、必要な手術であれ「ついでに手術」であれ、手術する範囲を広げればそれだけ合併症が多くなります。したがって、不必要に手術を広げないのが原則です。つまり「ついでに」盲腸をとることはありません。 子宮全摘で卵巣や卵管を一緒に切除する場合は、少し事情が異なります。子宮だけを切除した場合と、卵巣や卵管も一緒に切除した場合では、実際的には術式に大きな差がないのです。合併症に差が出ることもありません。ですから、既に月経もなく閉経しておられる方で、子宮全摘をされる場合は、「ついでに」卵巣や卵管をとるのは選択肢の一つになります。卵巣癌の頻度は増えつつありますから。 しかし、既に閉経した方が、子宮筋腫の手術を受けられるのは稀なことでしょうから、あなたには当てはまらないかも知れません。 一方、規則的な月経がある方については、「ついでに」卵巣を切除することはお勧めできません。卵巣はちゃんと機能しているからです。むかし、将来卵巣癌になる可能性を減らすために、一方だけの卵巣を切除する手術が行われていました。しかし、一方の卵巣だけをとることもお勧めできません。左右の卵巣が同じように機能しているとは言えないからです。 つまり、あなたが既に閉経しているのなら、子宮全摘術の「ついでに」両方の卵巣(と一緒に卵管も)を切除することは、合理的な選択肢であるといえます。もし閉経していないのなら、「ついでに」両方の卵巣(と一緒に卵管も)を切除することはお勧めできません。 何れの場合も、「ついでに」虫垂を切除することは勧められません。 |
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Q:34歳未婚です。検診で子宮筋腫といわれました。8cmの筋層内筋腫があり、それ以外に3-4cmの筋腫が数個あります。貧血もなく自覚症状もありません。大きくなる前に手術した方がいいと言われました。早く手術したほうがいいですか。 A:今、無症状ですから早く手術をする必要はないでしょう。 症状がない場合、筋腫の手術が必要かどうかについてはさまざまな意見があります。 私は、近い将来妊娠を計画していなければ、自覚症状がない筋腫は経過をみて構わないと考えています。というのは、あなたの場合もそうですが子宮筋腫はたくさんできることが少なくありません。さわって判る範囲の筋腫を手術でとりますが、小さいものは残る可能性があります。それが将来再発する可能性があります。私たちのデータでは、超音波検査で判る1cm程度のものの再発まで含めると1年に10%程度ぐらいの割合で再発をします。もちろん再度手術が必要になる可能性は低いのですが、再発が起こりやすいというのは、知っておくべき重要な知識です。 つまり、将来実際に妊娠しようとするときに筋腫が再発し、もう一度手術をする必要が出てくる可能性があります。そんなことを考えると、現在症状がなく、さしあたり妊娠の計画がないのであれば、手術を先延ばしする方が再手術の可能性が少なくなると考えます。 大きくなる前にと言うのは、経過をみて実際に大きくなってからでも十分間に合います。 |
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Q:6cmの筋層内筋腫があります。子宮鏡で手術するのは無理ですか。 A:無理です。 子宮鏡は子宮の入り口の方から子宮の内部をみる内視鏡です。子宮の内部にでた筋腫、つまり粘膜下筋腫は子宮鏡で手術できますが、筋層内筋腫の処置はできません。 子宮を残すことを希望するのであれば、他の方法、例えば開腹しての筋腫核出術や腹腔鏡下の筋腫核出術、あるいは子宮動脈塞栓術や集束超音波による治療を検討することになります。 |
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Q:臍の上、3cmまで、5-10cmの筋腫が十数個あると言われました。腹腔鏡下手術は可能ですか。 A:残念ながら無理でしょう。腹腔鏡下手術は、筋腫の大きさにもよりますが7-8cmまでのものが数個が限界でしょう。また、臍の上に達するものは、臍から覗きながら行うことが多いので、一般的に不可能です。この場合、無理とか不可能といっているのは、手術時間がかかりすぎる、出血量が多くなるなどの理由から、安全な手術ができる保証がないという意味です。 少なくとも、私はお引き受けしません。腹腔鏡下手術にこだわられるのであれば、信頼できる医師を紹介します。そうした方もきっと無理と言われると思いますが。 この方の筋腫が、どのようにできているかにもよりますし、どの程度太っておられるかにもよりますが、このように大きな筋腫が多数ある方でも、5-6cmの腹壁切開で手術できる可能性があります。mini-laparotomyと呼ばれる方法ですが、私はむしろこの方法が可能かどうか検討されるようお勧めします。 |
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Q:34歳の主婦で、すぐに妊娠を希望していますが、7cmと4cmの筋層内筋腫が見つかりました。子宮筋腫を核出してから妊娠した方がいいでしょうか。 A:これは、判断に迷います。どちらかといえば、手術をしてから妊娠されたほうがよいと思います。 子宮筋腫があると、赤ちゃんの発育が抑えられたり、胎盤の早期剥離が起こったり、前期破水や早産、あるいは流産が増えるのではないかとする報告があります。また、横位や骨盤位になりやすくなり、分娩時の出血も増えます。 ですから、もちろん子宮筋腫はないほうがよいのですが、筋腫核出術を行えば、手術や麻酔による直接的な副作用(例えば出血や癒着)の他に、次の分娩の時に子宮破裂が起こることも考えられ、帝王切開が必要になることがあります。つまり、子宮筋腫の核出によるメリットとデメリットがあります。 一般に大きな筋腫がある場合は、妊娠前に手術をしたほうがよいと考えられていますが、では、どの程度の大きさの筋腫がどこにあれば手術をした方がよいのか、明確な基準があるわけではありません。担当医と十分に相談されるようお勧めします。 私自身は、およそ6cm前後以上の筋層内筋腫がある場合は、妊娠・分娩に伴うトラブルを考えると、手術してから妊娠した方がよいのではないかと考えています。6cmの筋腫でも妊娠するとホルモンの影響で8-9cmに増大することがあります。ですから、あなたの場合は手術をしてから妊娠された方がよいと思います。 |
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Q:不妊で、検査を受けましたが、6cmの漿膜下筋腫が見つかった以外異常はありません。手術したほうがいいですか。 A:漿膜下筋腫が不妊の原因になるかどうか不明です。同じような漿膜下筋腫があって、妊娠される方もたくさんいます。 しかし、漿膜下筋腫の手術をしたほうが術後の妊娠率がよくなったとする報告もありますので、できるだけ自然妊娠という視点からは手術をお勧めします。 体外受精などを受けられる場合も、ホルモン剤による治療のために筋腫が増大する可能性があり、手術をお勧めします。 |
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Q:子宮筋腫核出術の前に、ナサニールを使って筋腫を小さくした方がいいと言われたのですが。 A:ナサニールはスプレキュアなどと同系統の薬で、GnRHアゴニストと呼ばれます。下垂体に作用して卵巣を刺激するホルモンを減少させ、結果として卵巣から分泌するホルモンを減少させます。こうして閉経と同じようなホルモン状態を創り出して、子宮筋腫を小さくします。その上で手術をおこなった方が、傷が小さくてすむ、出血量が少なくなる等の利点があります。 ただ、私自身は子宮筋腫核出術の前にこの系統の薬剤をほとんど使いません。使わない理由は、患者さんにもよりますが、かなりつよい更年期様の副作用(ホットフラッシュやいらいら、発汗など)が出ること、小さいが将来再発の元になる筋腫の核出が困難になること、筋腫に起こる変性のために核出がかえって困難になることがあることがその理由です。また、傷の大きさや出血量は手術術式の工夫によって、かなり改善できることも理由に挙げられます。 手術を担当される医師とよく相談をされたらどうでしょうか。 |
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Q:38歳です。手術の予定はありません。筋腫が大きくなってきたのでスプレキュアで小さくしましょうと言われたのですが。 A:スプレキュアのようなGnRHアゴニストを使うと、子宮筋腫は2-3か月で縮小します。しかし、何年もスプレキュアを使うわけにはいかないから、例えば半年でやめれば、1-2か月で月経が再開して、2-3か月でまた前と同じように大きくなります。すぐ元に戻ってしまうから、意味がある治療法とは思えません。 したがってお勧めできません。 |
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Q:48歳です。筋腫が大きくなってきたので、スプレキュアを使って閉経まで「逃げ込み療法」をしましょう、と言われました。 A:医師は患者さんを診ながら、それぞれの方にあった方針を提案します。提案は短い言葉で表現されるかも知れませんが、それに至る過程は複雑なことも少なくありません。ですから、あなたの場合に「逃げ込み療法」が適切かどうか、何ともご返事ができません。 ですから、ここに書いたのは私の一般論としての意見と考えてください。 私は、この「逃げ込み療法」を行いません。理由はいくつかあります。1)「逃げ込み療法」で「お茶を濁す」ことができる子宮筋腫は、もともと治療を要しないのではないか、2)いつ閉経するか予測が立たないので、漫然と高価で副作用が出やすい薬を使い続けることになる、3)「逃げ込み療法」が有効であるというはっきりとしたデータがない、がその主な理由です。 私なら、まず治療が必要かどうか患者さんとよく相談します。直接的な治療が必要であれば、手術か子宮動脈塞栓術を提案します。直接的な治療が必要でなければ、経過をみるか、鎮痛剤、鉄剤などの対症療法を行います。 |
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| 卵巣腫瘍 | ||||
| Q:卵巣腫瘍といわれました。がんでしょうか。 A:卵巣嚢腫というと良性、卵巣腫瘍というと悪性と考えがちですが、良性であれ悪性であれ卵巣にできる新生物(できもの)はすべて卵巣腫瘍と呼びます。卵巣腫瘍といわれたから、がんと考える必要はありません。 がんかどうかは切除した標本を顕微鏡で調べてはじめてわかります。 手術前に内診や超音波検査、MRI、CT、血液検査等で、良性らしいか悪性らしいかのおよそのことは判ります。手術の対象になった患者さんのうち、98%ぐらいの患者さんは手術前の良性か悪性化の判断は当たります。 詳しくはここをクリックしてください。 |
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| Q:卵巣嚢腫だけを核出するので、卵巣の機能は残ると言われたのですが。 A:卵巣機能というのは、卵巣に残っている卵子の数を指します。卵巣にある卵子は、ご本人が胎児であった頃(つまりお母さんのお腹の中にいた頃)作られ、その後は減少し、閉経直後にほぼ0になります。そのときに残っている卵子の数が卵巣機能というわけです。 嚢腫だけを核出(えぐり出す)すれば、原理的には卵巣の機能は残ります。しかし、実際には嚢腫の僅かに外側、つまり健康な卵巣組織が僅かですが付着した状態で核出されますから、卵巣の機能は少しですが低下します。つまり、核出によって卵子の数は僅かですが減少します。 そのほか、卵巣からの出血を止めるための操作や縫合などの操作によって、卵子が障害される可能性もあります。 卵巣の機能を温存するという意味では、卵巣嚢腫の核出もしないに越したことはないのですが、捻転が起こったり、悪性であったりすれば、より決定的に卵巣機能が打撃を受ける可能性があります。また、チョコレート嚢腫がある場合は、核出によって妊娠率が向上することが判っています。 大切なことは、卵巣嚢腫核出のメリットとデメリットを十分に理解して、どうするかを決めることだと言えます。 |
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