流産のFAQ
FAQというのはFrequently Asked Questionsの略です。つまり、ここでは外来などでしばしば質問されることについてお答えします。書かれているのは私の意見なので、異なる意見があり得ることはご理解ください。
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自然流産
Q:高年になると流産しやすいと聞いたのですが、本当ですか。
Q:流産した胎児の染色体検査を受けたら、染色体異常と言われました。繰り返すことはありませんか。次の妊娠でダウン症候群の子どもが妊娠しやすくなることはありませんか。
Q:妊娠をしました。現在妊娠8週ですが、超音波検査で胎児の心臓が動いていると言われました。もう安心してもいいですか。
習慣流産
Q:2回流産しました。習慣流産の検査をした方がよいでしょうか。
Q:3回流産をしたのですが、1人子どもがいます。習慣流産の検査をした方がよいのでしょうか。
Q:卵巣機能検査のために何度も検査をするように言われました。こんなに何度も検査に来院しなくてはいけないのでしょうか。
Q:夫婦の染色体検査を行ったら夫に均衡型転座染色体異常があると言われました。もう私たちの子どもは望めないのですか。
Q:習慣流産の検査や治療を行いましたが、また流産しないか不安です。次の妊娠の時に気をつけることがありますか。
Q:習慣流産の検査を行いましたが、異常がないと言われました。何も治療しなくて大丈夫ですか。

自然流産

Q:高年になると流産しやすいと聞いたのですが、本当ですか。

A:その通りです。妻の年令が高くなるほど流産の可能性が高くなります。これは、妻の年令が高くなるにつれて児の染色体異常の頻度が高くなるためです。35才未満での流産率は11%ですが、35〜39才では21%、40才以上では41%です。このため、高年になると、習慣流産の治療を行っても流産の率は高くなります。

Q:流産した胎児の染色体検査を受けたら、染色体異常と言われました。繰り返すことはありませんか。次の妊娠でダウン症候群の子どもが妊娠しやすくなることはありませんか。

A:私自身のデータだと、流産した胎児の70%に染色体異常があります。つまり流産の大半に胎児の染色体異常がみられます。

ですから、次にまた流産となった場合には、その妊娠でも胎児に染色体異常がみられることもあります。しかも、これらの染色体異常のほとんどは
"たまたま"起こる染色体異常です。年令の高い方の場合には胎児に染色体異常が見られる率は高くなります。しかし、流産の時に胎児に染色体異常があったからと言って、妊娠が継続した際にダウン症候群や他の染色体異常の児を出産する確率が増えるわけではありません。流産をしていない方や流産した胎児に染色体異常のなかった方と同じ頻度であると考えて下さい。

Q:妊娠をしました。現在妊娠8週ですが、超音波検査で胎児の心臓が動いていると言われました。もう安心してもいいですか。

A:妊娠7週で胎児の心拍がある場合に流産する確率は約5%です。妊娠8週では3%、妊娠9週では2%です。絶対に大丈夫とは言えませんが、流産の率はかなり低いと考えてよいでしょう。

習慣流産
Q:2回流産しました。習慣流産の検査をした方がよいでしょうか。

A:習慣流産の検査を行うと、およそ15%の方に流産と関係する可能性が高い異常が、およそ40%の方に流産と関係するかも知れない異常が見つかります。約半数の方は検査上全く正常です。

また、ご夫婦のどちらかに均衡転座型染色体異常が見つかる頻度も、2回流産の既往があるとおよそ4%になります。検査で見つかった異常が必ずしも今までの流産の原因とは限りませんが、次の妊娠に安心して望むために、検査と治療を受けられるようお勧めします。しかし、2回流産をした場合に次に流産する確率は25%です。逆に言えば、何もしなくても75%は流産をしないで、妊娠が継続します。習慣流産の検査を受けるか否かはご夫婦でよく相談をして決めて下さい。

Q:3回流産をしたのですが、1人子どもがいます。習慣流産の検査をした方がよいのでしょうか。

A:子どもさんが1人いる方で2回流産した方が次に流産する率は約25%、子どもさんが1人いる方で3回流産した方が次に流産する率は約30%と言われています。つまり、子どもさんのいない方に比べると、次の妊娠での流産の確率はやや低くなります。しかし、子どもさんのいる方でも、夫婦のいずれかに均衡転座型染色体異常が発見される頻度は、子どもさんがいない場合とあまり差がありません。このため、習慣流産の基本的な検査と治療は受けられるようお勧めします。

Q:卵巣機能検査のために何度も検査をするように言われました。こんなに何度も検査に来院しなくてはいけないのでしょうか。

A:黄体機能不全や多嚢胞性卵巣症候群では流産が多いことがわかっています。このために卵巣機能検査が必要となります。

卵巣機能と一口で言っても月経中や排卵の時、排卵後などで、ホルモンの値は大きく変化します。また、月経周期ごとの変動も大きいのです。こののような理由で、同じ周期に何度も来院して頂いたり、また違う周期に来院して頂いたりして、超音波検査で卵巣や子宮の状態をみたり、採血をしてホルモンの値を測定したりします。

Q:夫婦の染色体検査を行ったら夫に均衡型転座染色体異常があると言われました。もう私たちの子どもは望めないのですか。

A:男性に(女性の場合でも同じ)均衡転座型染色体異常があったからといって、必ずしもすべての子どもさんが染色体異常となり、流産するわけではありません。

子どもさんの染色体は正常の場合や、親と同様の均衡転座型染色体異常の場合もあります。確率的には、半数以上の児の染色体は正常かもしくは均衡転座型染色体異常
(子どもさんに異常が出ることはありません)です。

50%以上の確率で子どもさんに異常が出る場合もないわけではありませんが、きわめて稀です。

しかし、妊娠が継続しても、子どもさんに染色体異常
(不均衡転座型染色体異常)がある可能性(5%程度)もあります。子どもさんについて検査をご希望でしたら、妊娠が継続した場合に絨毛検査や羊水検査を行うことができます。遺伝カウンセリングができる病院に受診されるようお勧めします。

Q:習慣流産の検査や治療を行いましたが、また流産しないか不安です。次の妊娠の時に気をつけることがありますか。

A:基礎体温はきちんと記録して下さい。そして、妊娠をしたら早く受診して下さい。基礎体温表で高温相が17−18日以上持続する場合は受診されるようお勧めします。次の妊娠は絶対に大丈夫とは言えませんが、妊娠初期にきちんと通院していた方が、妊娠継続率が高いとの報告もあります。

また、心配な気持ちは分かりますが、子どもさん自身の異常で流産することも少なくありません。子どもさん自身の異常は、受精時には既に決まっており、妊娠したことが判ってからどうか出来ることではありません。正確に言えば、受精の前であってもどうにも出来ないことなのです。出来ることはしたのだから後は運を天にまかせる程度の淡々とした気持ちで、妊娠に望んで下さい。

次の妊娠で、入院する必要はありません。また、普通の生活をおくっていただいて結構です。妊娠が継続するかどうかの結果には関係しないからです。もちろん、入院していただく場合や生活を制限していただく場合もありますが、これらは個々に説明されるでしょう。

Q:習慣流産の検査を行いましたが、異常がないと言われました。何も治療しなくて大丈夫ですか。

A:習慣流産全体、すなわち習慣流産のはっきりした原因がある方を含めて考えても、次の妊娠が継続する可能性は50%以上です。つまり、半分以上の確率で妊娠は継続します。次の妊娠は絶対に大丈夫とは言えません
(世の中のことで"絶対"と言えることはありません)が、異常が無いわけですから、自信をもたれてよいと思います。