NT
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Q:NTというのは何ですか。
A:Nuchal translucencyの略です。Nuchalというのは首の後という意味で、translucencyというのは透明という意味です。つまり、首の後の透明の部分というような意味です。
Nuchal translucencyというのは、妊娠の初期に胎児の後頭部に見られる超音波検査上、透けて見える部分を指しています。これ自体は異常なものではありません。
しかし、NTがある程度以上あると、子どものざまざまの異常の頻度が増加することが判っています。

Q:子どものどんな異常が増加するのですか。
(1)染色体異常、特に21番、18番、13番などの染色体が1本多いトリソミー型と呼ばれる染色体異常や、ターナー症候群(染色体は45,X)が増加します。
(2)染色体異常がない場合でも、頭部、心臓・血管系や横隔膜、腎臓・尿路、腹膜などの病気が増えることが判っています。
(3)遺伝子異常があるNoonan症候群、Smith-Lemli-Opitz 症候群や筋骨格系の病気などが増加するといわれています。
この他、子宮内で子どもさんがなくなる頻度も高くなります。
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Q:妊娠のいつ頃調べるのですか
A:11週0日から13週6日の間に調べます。頭殿長(CRLといいます、およそ胎児の坐高と考えてください)は45-84mmです。画像上胎児が最も大きく見えるように拡大し、透明の部分は内側から内側で計ります。測定は0.1mmの単位まで行います。膣の方から検査することも腹部から検査することもあります。
この時期のNTは中央値(平均値に近いと考えてください)は、11週の1.2mmから11週の1.9mmへと大きくなります。英語が読める方は、http://www.fetalmedicine.com/11-14scanbook/Chapter1/chap01-3.htmを参照してください。
週数によって中央値は異なりますから、NTの基準値も週数によって分けなければならないのですが、3mm以上の場合は基準値を超えているとすることが多いようです。胎児に異常がないにもかかわらずNTが3mm以上になる頻度は、数%はあると考えられています。つまり100人調べると数人はいるという意味です。
また、0.1mmの単位まで調べるように非常に微妙なものです。透明の部分は内側から内側を計るのですが、透明の部分とそうでない部分は0.1mmのレベルまでくっきりと区別できるわけではありません。羊膜と胎児皮膚の区別がつきにくく間違えて測定されることもあります。
測定は難しく専門的なトレーニングが必要です。
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Q:染色体異常はどれぐらい増えるのですか。
A:21番、18番、13番染色体が1本多い染色体異常の頻度は、NTが3mmの場合はおよそ3倍、4mmでおよそ18倍、5mmでおよそ28倍、6mm以上でおよそ36倍に増えると言われています[Pandya
PPら:Obstet Gynecol 1995;5:15-19.]。
もしあなたが、35歳でNTが4mmあったとすれば、21番染色体が1本多い子どもさんを産む確率は、もともとの年齢の確率およそ1/300に18をかけて1/17程度ということになります。
私自身のデータではNTが3mm以上あるとして紹介されてきた患者さん50例のおよそ15%にトリソミー型などの染色体異常がありました。ただし、多くの例で4mm程度以上の明らかなNTの増加がありました。
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Q:心臓に病気がある赤ちゃんも増えると聞いたのですが。
A:10-14週で、NTが3.5-4.4mmの場合2.9%、4.5-5.4mmで9.1%、5.5mm以上で19.5%の、染色体が正常な胎児で、心臓に病気があったという報告があります[Jon
Hyettら:BMJ 1999;318:81-5]。
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Q:お腹の中でとか、あるいは出産してからなくなる赤ちゃんも多いと聞きましたが。
A:後述の論文[Senat MVら: Prenat Diag 2002:;22:345-349.]では、NTが4mm以上あった160例中、子宮内や出生後に死亡した子どもさんは19例(160例の12%)でした。この19例の子どもさんには染色体異常がないことが判っています。しかし、形態的な病気は見つかっていました。
つまり、染色体異常も超音波断層法での異常もない場合は、子宮内や出生後に死亡する可能性はあまり高くないようです。
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Q:お腹の赤ちゃんはどうなるのですか。
A:妊娠11-14週にNTが4mm以上であった胎児160例の追跡調査をした報告があります。それによると71例44%に染色体異常があり、染色体が正常であった89例中23例(26%)が、超音波検査で胎児の形態的な異常が見つかったそうです。
染色体異常もなく、超音波断層法でも異常が認められなかった62例(160例の39%)が出産し、4例が出産後先天的な病気が見つかり、結局48例(160例の30%)が出生後12-72か月が経過した時点で、病気もなく成長しているとのことです[Senat
MVら: Prenat Diag 2002:;22:345-349.]
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Q:NTは調べた方がいいのですか。
A:NTがある程度以上あった場合、その後胎児がどのようになるのか、まだまだ不明確な点が少なくありません。
また、日本人についてはっきりしたデータが十分にありません。多くの妊婦さんやご家族はNTが厚いといわれると心配され、混乱されます。はっきりしたデータがないのだから、これは当然のことと思います。
ただ、人種差はないようですから[Thilaganathan Bら: Oltrasound Obstet Gynecol
1998;12:112]、外国のデータをみて方針を決めることはできます。
外国のデータを使ったとしても、その後、胎児がどのようになるのかの十分なデータを示すことができないので、NTをすべての妊婦さんが調べることについて、臨床医としては個人的に反対です。
すべての妊婦さんに実施するのであれば、どのような結果が得られる可能性があるのか、それに対してどのような対策があり得るのかを事前にきちんと妊婦さんや家族に説明し、研究段階であることを了解頂いてから超音波検査を実施すべきと考えます。
ただ、NTは、測定しようと思わなくても見えてしまうことがあります。4mm程度以上のNTがある場合は、一見して判ることが多いのです(全てではありません)。判ってしまった場合は、情報開示という視点から、妊婦さんには(必要があれば家族にも)、説明しています。
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